業務効率化のために、会員アプリの導入を検討している飲食店のオーナー・経営者の方もいらっしゃることでしょう。会員アプリは会員カードのアプリ版で、アプリ内でユーザー情報や来店ポイントなどを管理できます。
会員アプリは企業のみならず、顧客にとってもメリットがあり、多くの店舗や企業で導入が進められています。今回は、会員アプリを導入する方法と導入によるメリット・デメリット、注意点を解説します。
会員アプリとは
会員アプリとは、会員であると証明するためのアプリのことです。会員カードのアプリ版で、ユーザー情報や来店ポイントなどをアプリ内で管理できます。
会員アプリは顧客と企業、どちらにとってもメリットのある支払い方法です。従来の会員カードと異なり、顧客はカードを持ち歩く必要がなくなり、紛失することもありません。企業は、顧客管理がしやすくなり、アプリを使って販促活動ができるようになります。
従来の会員カードではできなかった会員ごとの購入履歴の確認や、クーポンや割引の配信なども可能です。会員アプリは会員カードと比較して多くのメリットがあるため注目されています。
会員アプリを導入する方法
会員アプリを導入する方法は、主に次の3つです。
・アプリ制作ツールを利用する
・会員アプリ制作会社に作成を依頼する
・自社で開発する
アプリ制作ツールを利用するともっとも簡単にアプリが制作できますが、オリジナリティを出すことは難しいです。制作会社に作成を依頼すると手間がかからずオリジナリティのあるアプリが制作できますが、費用が高額になります。自社で開発する場合は、自社に開発の技術者がいないと難しいです。
それぞれ具体的な内容を確認していきましょう。
アプリ制作ツールを利用する
会員アプリは、アプリ制作ツールを利用して導入できます。
アプリ制作ツールは月額を支払い、会員アプリを作成するツールです。機能やデザインは、あらかじめあるものの中から選択することが多いため、オリジナリティを出すことは難しいデメリットがあります。
一方、長期間の開発期間がかからず、コストが安く済みます。導入の手間も、それほどかかりません。限られた機能やデザインの中ですが、自社に適したアプリを制作できます。
そのため、アプリ作成ツールは費用や手間をあまりかけず、会員アプリの基本的な機能を使用したい店舗におすすめです。
会員アプリ制作会社に作成を依頼する
会員アプリ制作会社に、会員アプリの作成を依頼する方法もあります。
会員アプリ制作会社は、希望に沿ってアプリを制作する、受注制作方式の会社です。会員アプリ制作会社に依頼すると、アプリ制作ツールではつくれないような細部にこだわったアプリを制作することができます。
受注制作型のため制作費用は高額になりますが、制作の手間はかかりません。また、自社の希望に沿ったアプリを制作できるため、オリジナリティを出すことができます。
会員アプリ制作会社に依頼する方法は、つくりたい会員アプリのイメージが明確で、費用が高額でも構わない企業におすすめです。
自社で開発する
会員アプリを導入するには、自社で開発する方法もあります。
自社で開発すると要望どおりに、自社独自の会員アプリを制作することが可能です。社内で制作するため、追加費用などを気にせずに機能などを盛り込めます。そのため、オリジナリティのある会員アプリを制作できます。
その代わり、会員アプリを作成するには専門的知識や開発技術が必要です。技術者が社内にいない場合、スキルを習得するまでに時間と費用がかかります。
また、開発をはじめてからも時間が多くかかります。開発をしている期間は開発者に対して給与を支払う必要があり、期間が長引くほど費用も多くかかります。
そのため、自社で開発する方法は、開発できる技術者が社内にいる場合のみ可能な方法といえます。
会員アプリ導入によるメリット
会員アプリを導入すると、従来の会員カードのようにカードが必要ありません。そのため、企業と顧客それぞれにメリットがあります。主なメリットは次のとおりです。
・顧客管理が容易になる
・アプリで販促活動ができる
・顧客の利便性が向上する
・レジの回転率を上げられる
・ポイントカードの利用率が上がる
・会員の属性に応じた情報発信ができる
会員アプリはデータで顧客情報を管理するため、顧客管理が容易になります。また、アプリを利用してクーポンを配布するなど、アプリで販促活動が可能です。他にも、スマホがあれば利用できるため、カードを持ち歩く必要がなくなり、顧客の利便性が向上します。
ここからは、会員証アプリ導入によるメリットを一つずつ解説していきましょう。
顧客管理が容易になる
会員アプリを導入すると、顧客管理が容易になります。なぜなら、顧客がアプリに入力した情報をオンライン上で直接管理できるからです。
従来の会員カードの場合、用紙に情報を書いてもらい、それをパソコンに打ち込む作業が必要です。この作業の際には、記入してもらった用紙を紛失したり、打ち込みの際に入力を誤ったりする可能性があります。また、顧客情報に変更があるたびにパソコンに打ち込みが必要です。
会員アプリの場合、顧客情報に変更があったとき、すぐにアプリで書き換えてもらえます。また、わざわざ顧客情報をパソコンに打たなくても、顧客がアプリに入力した情報が顧客データに自動で反映されます。
そのため、会員アプリを導入すると顧客管理が容易になり、従業員の負担が軽くなるでしょう。
アプリで販促活動ができる
会員アプリを導入すると、アプリで販促活動ができます。アプリに商品の割引情報や新商品のお知らせなどを直接配信できるからです。
顧客の興味をひきそうな情報を発信すれば、来店する可能性が上がります。具体的には、既存顧客に対して一定の条件をクリアしたらクーポンを与えるなどといった配信があります。たとえば、「商品を一つ買うと10%引き」と条件をつけ、一つクリアするごとに難易度をあげていき、常連客になってもらえるように誘導することも可能です。
従来の会員カードではできなかった販促活動ができる点は、会員アプリのメリットです。
顧客の利便性が向上する
会員アプリ導入により、顧客の利便性が向上します。なぜなら、会員カードを持ち歩く必要がなくなるからです。
会員カードの場合、紛失したり忘れたりする可能性があります。会員アプリの場合は、スマホさえあれば利用できるため、持ち運びに手間がかかりません。
また、会員アプリはポイントの管理もしやすいことが特徴の一つです。自分の所持ポイントやポイント期限などをアプリ内で確認できるため、ポイントを使いやすくなります。
会員アプリを導入すると、カード紛失のリスクがなくなり、ポイントの管理がしやすくなるなど、顧客の利便性を向上させることができるのです。
レジの回転率を上げられる
会員アプリ導入によって、レジの回転率を上げられます。会員アプリはスマホをかざすだけで、簡単にポイントを付与できるからです。
従来の会員カードでは、カードを提示してもらい、従業員などが確認する必要がありました。一方、会員アプリであれば顧客は会員カードを探す必要がなく、従業員などは確認する必要がありません。
そのため、ポイント付与の手続きがスムーズに行えます。ポイント付与が簡単になることで、レジの回転率を上げることができ、結果として売上アップにつなげられます。
ポイントカードの利用率が上がる
会員カードから会員アプリに変更することによって、ポイントカードの利用率向上が期待できます。なぜなら、スマホのみでポイントカードを発行できるからです。
カードの会員証の場合、「カードを持ち歩きたくない」「管理が面倒」といった理由で発行しなかった人も、スマホ会員証であれば発行してくれる可能性があります。
また、会員アプリでは、割引やクーポン券などのお得な情報を発信できるため、顧客に登録を促しやすくなります。ポイントカードの利用率が上がれば、店舗のリピーターが増えることも期待できるでしょう。
会員の属性に応じた情報発信ができる
会員アプリでは、会員の属性に応じた情報発信をアプリで行えます。アプリ内に会員の性別や年齢、居住地域、購入履歴などが記録されているからです。
従来のカード会員証では、会員情報をまとめるのとは別に、メールやチラシなどで情報発信をする必要がありました。一人ひとりの会員に合わせた情報を選択して送付するのには、時間や手間がかかります。
一方で、会員アプリではアプリ内で集めた会員情報をもとに、会員ごとに情報発信ができます。属性に合わせて発信する情報を設定しておけば、会員一人ひとりに対して情報を選択する手間を省くことが可能です。
会員アプリ導入によるデメリット
会員アプリ導入には多くのメリットがありますが、デメリットもあります。デメリットは、コストがかかる点と、データ移行に手間がかかる点です。
コストは、導入する会員アプリによって幅がありますが、継続的にかかることが多いため、費用負担が大きくなりすぎないように注意が必要です。データ移行は導入時のみですが、顧客の数が多ければ多いほど移行に時間と手間がかかります。
ここでは、デメリットを具体的に解説していきましょう。
・コストがかかる
・データ移行に手間がかかる
コストがかかる
会員アプリ導入には、初期費用と運用費用がかかります。金額は、アプリの機能や導入方法によってさまざまです。
会員アプリ制作を外注すると、一般的に高額なアプリ制作費用がかかります。また、アプリを運用するには多くの場合、月額料金の支払いが必要です。
そのため、会員アプリ導入にはある程度の費用がかかることを認識し、概算しておきましょう。会員アプリの効果を得るには、導入後継続し続ける必要があります。継続するために会員アプリに必要な機能を見極め、費用負担が大きくなりすぎないように注意しましょう。
データ移行に手間がかかる
会員アプリを導入すると、既存顧客のデータ移行に手間がかかります。
もともと紙で顧客データを管理していた場合、オンライン上に移行しなければなりません。紙ではなくExcel(エクセル)などでデータ管理していた場合も、会員アプリに取り込み機能がない限り、移行の作業が必要です。
データ移行作業は、顧客の数が多いほど手間がかかります。また、入力ミスがないように慎重に移行する必要があります。データ移行は導入時のみですが、手間がかかる点は会員アプリ導入のデメリットだといえるでしょう。
会員アプリを導入する際の注意点
会員アプリ導入には多くのメリットがありますが、注意点を踏まえて導入しなければ、効果的に利用することができません。会員アプリを導入する際の注意点は、主に次の3点です。
・導入の目的を明確にする
・導入にかかる費用を把握しておく
・運用方法をシミュレーションする
導入の目的を明確にすることで、必要な機能を見極められ、余分な費用をかけずに会員アプリを導入できます。また、導入にかかるトータルの費用を把握しておくことで、導入後に継続できないといった問題を防げます。
導入前には、会員アプリの運用方法をシミュレーションして、事前にトラブルなどへの対策を行っておくことも大切です。
導入の目的を明確にする
会員アプリを導入する際は、導入の目的を明確にしましょう。なぜなら、目的が明確でないと、会員アプリに必要な機能がわからないからです。
会員アプリには、会員証の機能のみついているものの他に、メッセージを送れたり、ポイントを商品と交換できたりと、さまざまな機能があります。必要な機能がわからないと、無駄に高機能なシステムを導入したり、機能が足りず買い替えることになったりと、コストがかかります。
必要な機能は企業ごとに異なるため、検討する必要があります。導入前に導入の目的を明確にし、必要な機能を確認しておきましょう。
導入にかかる費用を把握しておく
会員アプリ導入の際は、導入にかかるトータルの費用を把握しておきましょう。なぜなら、費用がかかりすぎると継続できないからです。
具体的には、導入に必要な初期費用や運用費用を確認しましょう。サービスによっては、機器の購入が必要な場合もあり、高額になる可能性があります。
会員証アプリを導入したとしても継続できなければ、費用だけかかって損してしまいます。継続するためにも、導入にかかるトータルの費用を計算しておきましょう。
運用方法をシミュレーションする
会員アプリを導入する前に、運用方法をシミュレーションしておきましょう。導入初期のトラブルを防ぐためです。
導入したばかりだと、運用方法がわからず、上手く対応できない場合があります。そのため、事前にデータの移行手順や、顧客に登録を依頼するマニュアルなどを具体的に決めておきましょう。
トラブルがあったときの対応方法などを確認することも大切です。会員アプリを利用開始してから慌てないように、運用方法をシミュレーションしておきましょう。
まとめ
会員アプリを導入する方法や導入のメリット・デメリット、注意点などについて解説しました。
会員アプリ導入にはコストがかかりますが、導入によって顧客管理が容易になったり、顧客の利便性が向上したりと多くのメリットがあります。会員アプリ導入の際は、導入の目的やかかる費用、運用方法などを考えた上で検討しましょう。
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