顧客単価を上げる方法

1日あたりの来客者数を増やすことができても、客単価を上げることができなければ効果的な売上の向上が見込めません。顧客単価を上げる最もシンプルな方法は値上げですが、値上げの敢行は満足度を下げてしまったり、客足を遠のかせたりする原因にもなります。

今回は、値上げ以外の方法で顧客単価を高めるための手法について詳しく解説します。

顧客単価とその仕組み

顧客単価は、来店者一人当たりの平均的な消費額を指すことばです。飲食店の場合、来客数の多さは必ずしも売上に比例するとは限らず、どれだけ多くの商品を注文しているか、あるいは単価の高い商品を注文しているかが売上に影響します。

そのため、顧客単価の目安を算出する際には、来店者のオーダーの数、一回のオーダーあたりの注文品数、注文した品の単価を掛け合わせることで、具体的な額がわかります。顧客単価がどのように決まるかを理解しておくことで、単価向上に向けた改善点を容易に把握できるようになります。

顧客単価が下がってしまう主な原因

顧客単価が高く、それでいて来店者数が多ければその店は軌道に乗っているといえますが、何年店を続けていても顧客単価が上がらない、あるいは年々下がりつつあるというケースに遭遇しているお店もあるものです。

顧客単価が上向かない原因としては、主に次の3つの理由が考えられます。

顧客単価が下がってしまう主な原因

・商品価格が安いから
・オーダー数が少ないから
・メニューに飽きが来ているから

商品価格が安いから

顧客単価が上がらない最大の理由は、商品価格の問題です。商品価格は、時には高い方が商品価値を高める上で役に立つものの、大抵の場合、来店者は安い商品を好む傾向にあります。

特に飲食業界は競争が激しく、他店との差別化において値下げはシンプルで誰にでもできる取り組みであるため、値下げ競争に走りやすいものです。

ただ、商品価格が安いということは、その分多くのオーダーを取らなければ売上を期待することはできません。価格が安いことは集客効果につながるものの、客単価の向上においては足かせとなってしまうことがあります。

集客と客単価の両立を実現するためには、安易な価格競争は避け、別のアプローチで集客を促す必要があるでしょう。

オーダー数が少ないから

一人当たりのオーダー数が少ないと、その分客単価は下がります。どれだけ店に長く滞在してくれている来客者がいたとしても、1杯のビールを長々と飲まれてしまうと売上は期待できません。これは同じ時間で3杯のビールを飲む来客者と比べると、その差は明らかです。

具体的にどれくらいの顧客単価を実現すべきなのかは店舗にもよりますが、オーダー数の少なさに悩んでいる場合、できるだけ短時間の間に多くのオーダーを取ることができる店づくりを検討する必要があります。

メニューに飽きが来ているから

リピーターの客単価が上がらない、あるいは下がっている傾向にある場合、メニューに飽きが来ている可能性があります。来店当初は物珍しさや好奇心で、さまざまなメニューを試してくれるため、必然的にオーダー品数は多くなり、客単価は高くなります。

しかし、自分にとって好みの味やメニューは来店数に応じて固定化されてくるため、何度もお店に来てくれているリピーターでも、遅かれ早かれ同じものを同じだけ注文する、という形式に落ち着きます。

あまりに品数を増やしすぎたり、提供メニューを多角化しすぎたりするのは、その分ロスが増えてしまう問題につながりますが、できる範囲でメニューに変化をつける取り組みは大切です。

顧客単価を上げる主な方法

アップセル

顧客単価を上げる方法としては、値上げが最もわかりやすい施策ではあるものの、客足が遠のくなどのデメリットが気になるところです。

ここでは、値上げ以外の方法で顧客単価を上げるための施策について解説します。

顧客単価を上げる主な方法

・品揃えを増やす
・関連商品の販売促進に取り組む(クロスセル)
・上位商品の購入を促す(アップセル)
・価格設定に松竹梅を取り入れる
・新商品を定期的に展開する
・決済方法を増やす

品揃えを増やす

商品ラインナップを拡充することは顧客単価の向上に役立ちます。たとえ小さな一品料理でも「これは試してみたい」と思ってもらうことで、オーダー数の増加につながります。

また、ただ品数を増やすだけでなく、日々変化する顧客ニーズをチェックし、確実に注文が期待できそうなメニューを追加することも効果的です。

あまりにメニューを増やしてしまうと仕入れコストがかさんでしまうため見極めは必要ですが、顧客単価向上が必要になった際に検討しておきたい施策です。

関連商品の販売促進(クロスセル)に取り組む

単品のオーダーではなく、セット商品を購入してもらうことができれば、オーダーあたりの注文数が増え、顧客単価向上につながります。

いわゆるクロスセルと呼ばれる方法ですが、主力商品の注文だけでなく、ドリンクやデザートといった商品をプラスで注文してもらえるよう展開方法を工夫してみましょう。

ドリンクとメインの商品を合わせて購入することで割引が受けられるセット商品の展開や、より大きなサイズの注文を促すことで顧客単価を改善できます。

上位商品の購入(アップセル)を促す

既存商品の値上げではなく、新たに上位商品の追加を行うことで、顧客単価を引き上げるというアプローチもあります。いわゆる「アップセル」と呼ばれる手法ですが、顧客が想定しているよりも高額な商品の購入へ導くことができれば、オーダーあたりの単価を引き上げられます。

単価の高い商品はそうでない商品に比べて注文数こそ少ないものの、顧客単価向上に直結するため、上手く展開できる工夫が必要です。

価格設定に松竹梅を取り入れる

先ほど紹介したアップセル施策と関連して、価格設定に松竹梅の概念を取り入れることも有効です。たとえば、次のようなコース料理がメニューに掲載されている場合、

  • 松コース:12,000円
  • 竹コース:8,000円
  • 梅コース:5,000円

多くの来客者は、中間のコースである「竹コース」を選びたくなります。最も価格が安いのは梅コースですが、3つの価格帯を同時に並べることで、「梅よりも竹の方が安心かな」という心理が働くわけです。

また、松コースという最も高級なラインも用意しておけば、来客者の中には「どうせ注文するなら松コースにしよう」と考えてくれる人も出てくるため、いずれにせよ顧客単価に良い影響をもたらします。

新商品を定期的に展開する

商品はただ追加するだけでなく、継続的に変化をつけることも大切です。商品ラインナップに目新しさを感じなくなると、リピーターから複数の注文を得られにくくなるためです。

とはいえ、継続的に商品をただ増やし続けるだけでは、仕入れコストや調理の負担が大きくなってしまう問題もあります。そこで、季節限定・期間限定商品を展開することで、集客と顧客単価の増加の両立を目指せます。

期間限定商品は、そのときにしか食べられないという希少価値があるため、普段の注文と合わせて注文してもらえたり、普段の注文の代わりに注文してもらえたりする可能性が高まります。そのため、多少商品価格が通常メニューより高くとも、気兼ねなく注文してもらいやすいというメリットも期待できます。

決済方法を増やす

メニューや販売方法の工夫に限界を感じている場合は、決済方法を見直してみるのも良いでしょう。これまで現金のみだったところを、QRコード決済やクレジットカード決済に対応することで、顧客単価向上が期待できます。

これらの決済サービスの利用にあたっては、決済手数料が発生することから敬遠する事業者の方も少なくありませんが、現金のみの決済の場合、現金を持たない人は手持ちのお金以上の注文ができないという問題を抱えています。

決済方法を充実させることで、手持ちの現金を気にせず注文ができるため、顧客単価の向上につながります。

顧客単価を上げる以外に売上を伸ばす方法

顧客単価を上げることは、あくまで売上を伸ばす上での一つの手段にすぎません。売上の向上を促進する方法は、他にも以下のような施策が挙げられます。

顧客単価を上げる以外の方法

・新規顧客を獲得する
・リピート率を向上する

新規顧客を獲得する

新規顧客の獲得は、シンプルですが最も効果的な売上改善施策といえます。お店の存在を広く認知し、全国から来店者が訪れるようなお店にすることができれば、そのブランド力が自動的に新規来店者を集めるようになります。

来店者への口コミを促したり、SNSを使って積極的な情報発信を行ったりすることで、地道な認知拡大を進めましょう。

リピート率を向上する

新規顧客の獲得と同じくらいに重要なのが、リピーターの獲得です。足繁くお店に通ってくれるお客さんを増やすことができれば、広告に力を入れなくとも安定した売り上げが期待できます。

リピーターを効果的に獲得するためには、商品のクオリティを高めることはもちろんですが、クーポンやメニュー情報の積極的な発信で「また来たい」と感じてもらうことが大切です。

あるいは、ポイントカード制度などを導入して、来店数や注文数に応じた特別なプレゼントがもらえるような仕組みを整備することも有効でしょう。

まとめ

顧客単価の改善は、商品ラインナップの充実やセット商品の展開などによって、既存価格を据え置きながらでも十分に実現できます。顧客単価が上がらない原因についての理解を深め、その問題を解消するために有効な手法を取り入れてみると良いでしょう。

また、店舗売上を伸ばすためには顧客単価の改善だけでなく、新規顧客の獲得やリピーターの獲得も視野に入れてみることが大切です。新規顧客やリピーターを獲得すれば、店舗の安定した売上に貢献してくれるだけでなく、SNSを通じた口コミによって、更なる来店者を招いてくれることも期待できます。

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常連コボット for LINE

初回来店時にLINE経由でポイントカードを登録してもらえれば、来店のたびにポイントを付与したり、友達紹介によってポイントを付与したりといった、リピートや口コミを促す機能を活用できます。

貯まったポイントはクーポンと引き換えることができ、ポイントカード登録者の再来店のきっかけを作れるため、何度でも訪れてもらえるお店へと改善が期待できます。 「常連コボットforLINE」に関して少しでも興味をお持ちの方は、当社ディップ株式会社までお気軽にお問い合わせください。