顧客満足度を上げる方法

顧客満足度(CS)を上げる方法をお探しでしょうか?顧客満足度の低下は店舗の売上や収益に直結するため、顧客満足度が原因で倒産や廃業の追い込まれる飲食店も数多くあります。

今回は、「カフェ」「レストラン」「居酒屋」などの飲食店で勤務する方へ向けて、顧客満足度を上げるためにやるべきことを解説します。顧客満足度の向上に失敗し後悔したくない方は、ぜひ最後までご覧ください。

顧客満足度(CS)の向上が必要である理由

顧客満足度の向上が必要である理由は、大きく分けて次の4つです。

顧客満足度の向上が必要である理由

・売上と収益に直結するため
・リピーターを増やすため
・SNSや口コミで新規顧客を獲得するため
・ブランド力が高まるため

顧客を相手に商品やサービスを提供する側(サプライヤー)であれば、顧客満足度の向上は無視できない課題です。なぜ顧客満足度の向上が必要なのか、それぞれの理由について詳しく解説します。

売上と収益に直結するため

顧客満足度の低下は、企業の売上と収益に直結します。なぜなら、企業が提供する商品やサービスを顧客が利用しても、満足の行く「価値」を得られなくなるためです。

ここで重要なのが、顧客側は商品やサービスを買っているのではなく満足という「価値」を買っているということ。かの有名なドラッカーも、自身の著書の中で「顧客は、満足を買っている」と伝えています。

顧客満足度の低下は「提供価値」の低下を招きます。顧客が満足できる価値を提供するためにも、顧客満足度の向上は必要不可欠です。

リピーターを増やすため

リピーターを増やすためには、顧客満足度の向上が必要不可欠です。

顧客は、何度も同じ企業の商品やサービスを利用することで、「リピーター」へと成長します。リピーターは企業の継続的な売上に貢献する、貴重な存在です。

さらに、リピーターは企業のファンでもあるため「ライバルに流れにくい」というメリットもあります。リピーターを増やし継続的な売上を確保するためにも、企業にとって顧客満足度の向上は無視できない課題といえるでしょう。

SNSや口コミで新規顧客を獲得するため

SNSや口コミを活用し新規顧客を獲得するのも、顧客満足度を上げるためには必要です。

顧客は良い商品やサービスに巡り会えたら、誰かに広めたくなるという考えが働きます。顧客がSNSや口コミで企業に代わって商品やサービスを広めることで、新規顧客の獲得へとつながります。

ただし、SNSや口コミでの拡散が原因で、逆に顧客離れにつながる恐れもあることも認識しておきましょう。

ブランド力が高まるため

顧客満足度が高まり企業のブランド力が上がると、世間から良いイメージを持たれやすくなります。企業のブランド力が上がると、「家電ならSONY」「車ならトヨタ」というように、顧客はブランドで商品やサービスを利用するようになります。

また、ブランドで商品やサービスを選ぶ顧客は、同業他社に奪われにくいのもポイントです。ブランド力を上げて固定客を増やすためにも、顧客満足度の向上は重要といえます。

顧客満足度を上げるためにやるべきこと:ホールスタッフ編

ホールスタッフが顧客満足度を上げるためにやるべきことは、次の6つです。それぞれ詳しく解説しましょう。

ホールスタッフがすべきこと

・スタッフの清潔感を統一する
・言葉遣いを徹底する
・来店時やオーダー時などのオペレーションを統一する
・目配り・気配りのレベルを上げる
・クレームやトラブル時の対応を統一する
・無料サービスに注力する

スタッフの清潔感を統一する

スタッフの清潔感は、必ず統一するようにしましょう。

口の中に入れるものを提供する飲食店において、清潔感がないことは致命的ともいえます。清潔感に対する基準がスタッフ毎にあいまいだと、スタッフ一人の見た目が原因で店舗全体のイメージが悪くなる恐れがあります。

「髪の長さ」や「服装」など明確な基準を定め、スタッフ全員が統一した清潔感を保てるようにしましょう。

言葉遣いを徹底する

言葉遣いの徹底は飲食店などのサービス業において必須であり、むしろ「できて当たり前」です。逆に、正しい言葉遣いができていない飲食店は、それだけで顧客に対して「基準以下」のマイナスなイメージを与えます。

また、失礼のない言葉遣いだけではなく、接客時の表情や声のトーンも重要です。「明るい笑顔」「ハキハキとした態度」「失礼のない言葉遣い」の3つを、常に意識して業務にあたりましょう。

来店時やオーダー時などのオペレーションを統一する

来店時やオーダー時のオペレーションは、スタッフ全員が同じ基準で動くように統一することが大切です。スタッフ全員が同じサービスレベルで対応することで、サービスのムラがなくなり顧客満足度の向上につながります。

たとえば、レストランの来店時にいきなり「ご予約のお客様ですか?」とスタッフから言われた場合、予約していないお客様はきっと良い思いはしないでしょう。いきなり予約の有無を確認するのではなく、まずは「いらっしゃいませ」と来店への感謝を伝えるべきです。

また、オーダー時においても、「適切なタイミングで伺う」「オーダー内容は復唱する」など、スタッフ同士でオペレーションを統一しておきます。スタッフ全員が来店時やオーダー時のオペレーションを統一し、全員が同じレベルでサービスを提供できるようにしておきましょう。

目配り・気配りのレベルを上げる

飲食店のホールスタッフには欠かせない「目配り」「気配り」のレベルを上げることも、顧客満足度を向上させる上で有効です。「目配り」でお客様の細かい状況の変化を読み取り、「気配り」でお客様から要望される前に対応することで、顧客満足度はアップします。

たとえば、ファミリーレストランの老舗「ロイヤルホスト」では、店員を呼ぶための「呼び出しボタン」を廃止したことが話題になりました。呼び出しボタンをなくすことで、スタッフはお客様からのサインを見逃さないために「目配り」「気配り」を意識するようになります。

また、ホールスタッフのレベルアップだけではなく、店内にベル音が鳴り響かない落ち着いた空間も作れます。ロイヤルホストの好事例を参考に、ぜひホールスタッフの「目配り」「気配り」のレベルアップを図りましょう。

クレームやトラブル時の対応を統一する

クレームやトラブル時の対応は、必ずスタッフ全員で対応方法を統一しておきましょう。

たとえば、お客様のテーブルに誤った料理をこぼしてしまった場合、まずやるべきことはお客様への謝罪と対応です。また、「責任者に報告する」「会計時に改めて謝罪する」などの対応も必要でしょう。

ここでお客様への謝罪ではなくこぼした料理の処理を優先した場合、「客より料理を優先するのか」と大クレームになる恐れがあります。

クレームやトラブルは、とにかく「初期対応」が最重要です。スタッフ全員がクレームやトラブル時に初期対応を誤らないように、対応方法を統一しておきましょう。

無料サービスに注力する

無料サービスに注力することで、顧客満足度の向上を図れます。

無料サービスに注力するとは、何でもかんでも無料でサービスするということではありません。「お金のかからない無料サービスに注力する」ということです。

たとえば大雨の中来店してくれたお客様に対して、「お足元の悪い中ありがとうございます」といってタオルを差し出します。タオルを差し出す行為は無料でできるサービスですが、お客様にとっては「気遣いができる店だな」と好印象を与えられます。

また、傘を持っていないお客様に対し、「午後から雨になるそうですよ」と一言伝えることも効果的です。雨予報を知らなかったお客様には感謝されるでしょうし、仮に雨予報を知っていたお客様に対しても「気遣ってくれてありがとう」と喜ばれます。

お金のかからないサービスに注力すれば、顧客満足度の向上が図れます。ぜひ実践していきましょう。

顧客満足度を上げるためにやるべきこと:キッチンスタッフ編

飲食店の顧客満足度を上げるために、キッチンスタッフがやるべきことは次の3つです。1つずつ解説していきましょう。

キッチンスタッフがすべきこと

・料理のオペレーションを統一する
・ホールスタッフとの連携力を上げる
・オリジナルメニューを開発してみる

料理のオペレーションを統一する

全員が同じクオリティの料理を出せるよう、料理のオペレーションは統一しましょう。「こうした方が美味くなる」など、本来のレシピとは違う内容で料理を作るスタッフがいれば、味にバラツキが出る飲食店になってしまいます。

本来のレシピよりも美味しくなる方法を見つけたのであれば、責任者などの了承を得た上で、スタッフ全員が同じクオリティで出せるようにしなければなりません。味のバラツキなどが出ないよう、必ず料理のオペレーションは統一しましょう。

ホールスタッフとの連携力を上げる

お客様にスムーズに料理を提供できるように、ホールスタッフとの連携力を上げましょう。すでに食材が尽きているメニューをホールスタッフが受けてしまうなど、ホールスタッフとの連携不足が原因で起こるミスも多くあります。

ホールスタッフとキッチンスタッフの連携不足で、最終的に迷惑を被るのはお客様です。ホールスタッフとキッチンスタッフの連携力を強化し、顧客満足度の向上を目指しましょう。

オリジナルメニューを開発してみる

オリジナルメニューの開発も、顧客満足度を上げるために有効な方法です。

オリジナルメニューの難易度は高いかもしれません。しかし「このメニューが食べたいから来る」という顧客を増やすことで、ライバル店と差をつけられます。

また、「この食材でカレーを作っているのは当店だけ」というように、料理そのものではなく素材で差をつけるのも方法の一つです。顧客満足度の向上のためにも、ぜひ自店舗でしか味わえないオリジナルメニューを開発してみましょう。

顧客満足度を上げるためにやるべきこと:店長・オーナー編

飲食店の顧客満足度を上げるために、店長やオーナーがやるべきことは次の3つです。それぞれ解説していきましょう。

店長・オーナーがすべきこと

・従業員満足度(ES)の向上に注力する
・数字の計測や分析を徹底する
・設備管理を徹底する

従業員満足度(ES)の向上に注力する

従業員満足度(ES)の向上は、店長やオーナーの使命ともいえます。「ESなくしてCSなし」と言われるように、顧客満足度の向上は従業員の協力があって成せるもの。従業員が気持ち良く働ける環境を整えるのが、店長やオーナーの使命です。

従業員の表情が暗く辛そうに働いているレストランで、食事をしたいと思う顧客はいないでしょう。ストレスが溜まりイライラしている従業員が、お客様に対して心の底から「いらっしゃいませ」などと言えるはずがないのです。

すべての従業員が気持ち良く働けるように、店長やオーナーは従業員満足度の向上に努めましょう。

数字の計測や分析を徹底する

顧客満足度を上げるためには、数字の計測や分析は必須です。客数や客単価、原価率などの継続や分析も必要ですが、顧客満足度の向上のためにはそれ以外の数字の計測や分析が必要です。

たとえば、来店客の分析やアンケート調査、ネット予約のアクセス解析など、CSにおいても数字の計測や分析はできます。店長やオーナーの主観で考えるのではなく、データに基づいてCS向上策を考えるのが重要です。

設備管理を徹底する

設備管理を徹底することで、顧客満足度の向上につながります。設備管理は電球の球切れや床の汚れなど、見える部分だけの管理ではありません。

たとえば、店内にある座席のヘタリ具合などは、普段スタッフが座ることはないためチェックが漏れがちになります。実際に店長やオーナーが座席に座って確認することで、気づくこともあるはずです。

お客様に気持ち良く店内で過ごしてもらうためにも、目に見えない部分の設備管理も徹底しましょう。

まとめ

飲食店が顧客満足度を上げるためにやるべきことを、セクション毎に分けて解説してきました。

すべての項目に共通して言えることは、「お客様の立場」になって行動することです。ホールスタッフ、キッチンスタッフ、店長やオーナーのすべてが「お客様の立場」になって行動すれば、必ず顧客満足度の向上につながります。

今回お伝えした内容を参考に、ぜひ店舗一丸となって顧客満足度の向上を目指しましょう。