広告を活用した集客は、飲食店を安定して経営していく上で欠かせない施策の一つです。しかし、飲食店向けに一括りにしても、たくさんの広告媒体があるため、どれを選ぶべきかわからなかったり、広告運用の具体的なイメージが湧かなかったりすることもあるでしょう。
そこで今回は、飲食店向け広告媒体の種類と選び方、実際の飲食店におけるオンライン・オフライン広告事例を紹介します。事例から学べる広告運用のポイントもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
飲食店向け広告の種類
飲食店向け広告は主に「オンライン広告」と「オフライン広告」に分けられます。それぞれどのような媒体があるのか、順に紹介します。
オンライン広告
オンライン広告とは、インターネット上に出稿できる広告のことです。具体的には、インターネット検索エンジンや地図サービス、グルメサイト、SNSなどに掲載される広告のことを言います。
オンライン広告の種類 | 概要 |
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リスティング広告 | GoogleやYahoo!などの検索エンジンにて、検索キーワードに応じて検索結果上部に表示される広告 |
Google ローカル検索広告 | Googleマップ上の検索結果上部に表示される広告 |
グルメサイト広告 | 「食べログ」や「ぐるなび」などのグルメサイト上に配信できる広告 |
電子チラシ広告 | インターネット上で配信できるデジタルチラシ広告 |
SNS広告 | 「LINE」や「Instagram」「Twitter」などのSNS上に配信できる広告 |
インターネットやスマホの普及拡大により、オンライン広告市場は右肩上がりに成長しています。特に、Google検索やGoogleマップ、SNSなどは、多くの消費者が飲食店を探す際に利用する媒体であることから、飲食店が広告を出稿する場として適しています。
参照元:令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)(総務省)
オフライン広告
オフライン広告は、簡単にいえばインターネットを使用しない広告全般のことです。
オフライン広告には、テレビ広告やラジオ広告、新聞広告など多くの人数にリーチできる「マス広告」と、交通広告や折込広告などターゲット層を絞ってリーチできる「SP広告」が含まれます。
オンライン広告の種類 | 概要 |
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折込広告 | 新聞に折り込まれて配布されるチラシ広告 |
交通広告 | 交通機関や交通施設およびその周辺に掲載できる広告 |
フリーペーパー広告 | 特定地域の店舗内で配布される広告 |
ポスティング広告 | 顧客の郵便ポストに直接投函する広告 |
近年、オンライン広告に注目が集まりがちですが、宣伝の目的やターゲット層によってはオフライン広告も高い集客効果を発揮します。
飲食店向け広告の選び方のポイント
続いて、飲食店が広告媒体を選ぶ際に気をつけたいポイントを4つ紹介します。
- 広告を出す目的は何か
- お店のターゲットにアプローチできるか
- お店のコンセプトやブランドイメージに合っているか
- 広告費は予算内か
広告を出す目的は何か
自社に合った広告媒体を選ぶには、まず広告を出す目的を明確にしなければなりません。「お店の認知度アップを図りたい」「来店数を増やしたい」「新メニューの告知をしたい」など、広告の目的(ゴール)を決めて、その目的を達成できる広告の種類を選定しましょう。
お店のターゲットにアプローチできるか
次に、集客したいターゲットにアプローチできるかどうかも、広告選びで非常に大切なポイントです。
たとえば、グルメサイト広告一つをとっても、「食べログ」に広告を掲載するのと「ぐるなび」に広告を掲載するのでは、アプローチできる顧客層が異なります。若年層を集客したいお店なら、老若男女問わず利用者を獲得している「食べログ」を、40代男性を集客したいお店なら、利用者層が合致している「ぐるなび」を選ぶべきでしょう。
広告のムダ打ちを防ぎ、費用対効果を高めるためにも、お店の顧客層に合わせて広告媒体を選ぶことが大切です。
お店のコンセプトやブランドイメージに合っているか
お店のコンセプトやブランドイメージに合った広告を選ぶことも大切なポイントの一つです。
たとえば、「ゆっくりとくつろげる空間」をコンセプトにしているなら、お店の落ち着いた雰囲気や立ち寄りやすさをアピールできる広告を選ぶと良いでしょう。
広告とお店のコンセプトやブランドイメージがミスマッチしていると、実際に顧客してくれた顧客を惑わせてしまうことがあるため注意が必要です。
広告費は予算内か
一口に「飲食店向け広告」といっても、広告運用にかかる費用には媒体によって大きな幅があります。そのため、予算内で無理なく運用できる広告を選びましょう。
広告にあまり予算を割くことができない場合は、自由に予算を設定しやすいオンライン広告がおすすめです。
たとえば、SNS広告なら月数万円ほどから、広告運用を始めることができます。中には、予算に達した時点で広告配信が自動的に停止される機能があるSNSもあり、容易に広告費を管理することが可能です。
飲食店広告の事例:オンライン広告
ここからは、オンライン広告を出稿している飲食店の事例を2つ紹介します。
熊本ラーメン 黒亭
まず紹介するのは、LINE広告を活用して集客・販促を行っている「熊本ラーメン 黒亭」の事例です。
こちらの店舗では、オープンと同時にLINEのビジネス向けアカウント「LINE公式アカウント」を開設したものの、友だち追加数の伸び悩みを経験していました。そんな状況を打破するため、LINE公式アカウントの友だちを獲得することを目的とした「LINE広告」の出稿を行いました。
2019年11月から月額2〜3万円ほどの予算でLINE広告の運用を行った結果、約10ヶ月で友だち追加数を7倍にまで増やすことに成功しています。また、広告のクリエイティブを3〜5種類用意し、配信効果をもとに月に1・2回更新するなど、クリエイティブにこだわったことにより、店頭で販売している限定商品受注にもつながったそうです。
ちなみに、LINE広告では、友だち追加の促進の他にも、Webサイトへのアクセスや店舗アプリのインストールの獲得など、幅広い目的の広告を出稿することが可能です。
Skippers'
東京都江東区にある一口サイズのハンバーガー「スライダー」で人気のお店Skippers'は、電子チラシ広告「Shufoo!」を活用し、お店のプロモーションを行っています。
同社では、以前よりSNSやブログ広告といったオンライン広告に力を入れていましたが、「配信エリアを絞って配信できる」という強みがあったことから、電子チラシ広告の導入を決めました。
電子チラシ広告というと、スーパーやドラッグストアなどが利用しているイメージがあり、導入当初は十分な集客効果が得られるかどうか不安に感じていたそうです。
しかし、「Shofoo!」のタイムライン投稿機能と併用して電子チラシ広告を活用することで、店舗周辺のユーザーに向けた効率的なプロモーション、およびファンの獲得に成功しています。実際に、タイムライン投稿の閲覧数が増えるにつれ、客数が1.5倍、ランチタイムの回転は1回から2回にまで増えたそうです。
飲食店広告の事例:オフライン広告
続いて、オフライン広告の出稿を検討している飲食店経営者の方に向けて、参考になる飲食店広告の事例を2つ紹介します。
株式会社ホットパレット
ペッパーランチをはじめとした飲食業を経営する株式会社ホットパレットは、兵庫県神戸市東南区における新店舗のオープン告知として交通広告を出稿しました。
店舗のオープン告知を目的とした短期スパンでの広告出稿ができること、およびポスター1枚から掲載が可能で予算に合わせた広告展開ができることから、数ある交通広告の中から「駅ポスター広告」の出稿に決めたそうです。
駅ポスター広告は、サービスの拠点となる最寄り駅の改札からホームへ向かう駅利用者の目に留まりやすい箇所に掲載され、駅利用者に向けて店舗オープンの情報を発信することに成功しています。
この事例からは、交通広告は長期スパンだけでなく、短期スパンでの宣伝にも適していることがわかります。また、店舗の最寄り駅に広告を出稿することで、店舗周辺のユーザーに効率良くリーチすることに成功している点も参考にしたいポイントです。
そられ NANADAIME KOUJIYA
千葉県千葉市緑区市場に位置する和フレンチ&カフェ そられ NANADAIME KOUJIYAは、地域新聞広告の活用により集客および販促に成功しています。
以前は、公式ホームページ以外に何も販促を行っていなかったことや、新型コロナウイルスの感染拡大により、集客ができず困っていたそうです。そこで、地域密着の媒体「ちいき新聞」への広告掲載を決めたところ、思っていた以上の反響を得ることができました。
「ちいき新聞」は、その地域に根ざした新聞で、子どもから高齢層の方まで幅広い読者層を獲得しています。そのこともあり、「ちいき新聞」に広告を掲載する度に、30組以上の新規顧客の予約をゲットできているそうです。
今では、ランチもディナーも予約しないと利用できないほどの人気店にまで成長しています。この事例からは、地域新聞への広告掲載や、新聞折込広告のポスティングは、店舗周辺に住む人達の集客に非常に効果的であることがわかります。
飲食店の事例から学ぶ広告運用のポイント
続いて、先ほど紹介した飲食店の事例から学べる広告運用のポイントを3つ解説します。
- 効果を測定しやすい広告を選ぶ
- オンライン広告とオフライン広告を使い分ける
- クリエイティブにこだわる
効果を測定しやすい広告を選ぶ
広告を出稿したら、効果があったのかなかったのかを測定・分析する必要があります。ただ広告を出すだけでは、費用対効果がわからない上、成功または失敗を今後の広告運用に生かすことができないからです。
そのためには、広告の効果を測定しやすい媒体を選ぶことが大切です。
たとえば、上で紹介した「和フレンチ&カフェ そられ NANADAIME KOUJIYA」の事例では、地域新聞広告にクーポンを付けたり、予約時に顧客に「地域新聞を見た」などと伝えてもらったりすることで、広告の効果を測定しています。
広告運用は毎回うまくいくとは限らないため、効果を測定しやすい媒体を選び、常に改善を行える体制を整えることが大切です。
オンライン広告とオフライン広告を使い分ける
ここまででお伝えしたように、飲食店向け広告は「オンライン広告」と「オフライン広告」の2種類に大別されます。
これら2つは、それぞれメリット・デメリットや強みとするポイントが大きく異なるため、目的やターゲット層に合わせて使い分けたり組み合わせたりすることが効果的です。
たとえば、前者は店舗周辺地域のみならず広範囲にリーチできること、後者は店舗周辺の顧客に確実にリーチできることを強みとしています。そのため、顧客が全国各地から訪れる飲食店ならオンライン広告を、地域に根ざした飲食店ならオフライン広告を選ぶことで、ムダ打ちを防ぎ、効果的に宣伝することができるでしょう。
このように、オンライン広告とオフライン広告はどちらが一概に優れているということはなく、最適な広告媒体は店舗によって異なります。どちらか一方に限定せず、時と場合に応じて使い分けることが大切です。
クリエイティブにこだわる
オンライン・オフラインの広告媒体を問わず、広告を目にしたユーザーに「このお店を利用してもらいたい」と思ってもらえなければ、集客効果は期待できません.。そのためには、お店が伝えたいことを広告のクリエイティブ(デザイン)で魅せることが重要です。
たとえば、上で紹介した「熊本ラーメン 黒亭」の事例では、LINE広告のクリエイティブをユーザーの反応に合わせて差し替えることで、成果を出しています。これは、広告のクリエイティブによって、情報の届きやすさが大きく変わるためです。
広告を出稿する際はクリエイティブにこだわり、クリック数が少ない、集客に結びついていないなど効果が出ていない場合には、クリエイティブをこまめに改善するようにしましょう。
まとめ
飲食店におけるオンライン・オフライン広告事例と、事例から学ぶ広告運用のポイントを解説しました。
飲食店向けの広告に絞っても、広告にはたくさんの媒体が存在します。今回紹介したポイントや飲食店での広告運用事例を参考にして、自社の目的やターゲットに合った広告を選び、お店の魅力やコンセプトをアピールできるように努めましょう。