
アルバイトがなかなか採用できず、慢性的な人材不足に悩む企業は年々増えています。人が足りないことで仕事を受けることができなかったり、店舗を畳まないといけなかったりする企業にとっては、一刻も早く解決しなければならない課題です。
今回は、アルバイト採用は戦略を立てて進めることの重要性や、成功するノウハウについて詳しく解説します。
アルバイト採用に苦戦する理由
アルバイトの採用に苦戦する理由は大きく分けて3つあります。
自社で採用が上手くいかないとお悩みの場合、何か理由があるはずです。思い当たる節がないか採用市場を取り巻く背景、時代の変化、メディアの多様化など一つずつ確認していきましょう。
採用マーケットの現状
採用市場の現状について解説していきます。採用活動の難しさは、求人倍率という指標で判断することができます。求人倍率とは、求職者1人に対して求人数がどの程度存在しているかを示す数値です。
2022年6月では地域差があるものの、1.00〜1.89(沖縄県を除く)という数値になっているため、1人に対して1社〜1.89社の求人が存在しているという状態です。
参照元: 職業紹介-都道府県別有効求人倍率
「1人に対して1社であるなら、バランスよく就職できるのでは?」とお思いかもしれません。しかし、実際は良い条件の求人や魅力的な仕事など応募に偏りが発生します。
採用難易度の高い業界や職種が発生してしまい、不人気のイメージが一度ついてしまうとますます採用が難しくなるというサイクルが生まれます。
また、アルバイトを精力的に行うのは学生・主婦層がメインですが、少子高齢化が進む日本では学生が減少しています。こうした背景によりアルバイトの採用活動は年々難易度が上がっています。
求人手法の多様化
求人手法もどんどん多様化しています。
1980年代は有料求人誌の登場、1990年代にはフリーペーパーの台頭、2000年代はインターネット媒体の普及、2010年代はスマートフォンの活用など、約10年サイクルで進化を遂げています。
2020年代である現在は、次のように数えきれないほど求人手法は増えています。
- 業界別の専門求人サイト
- オウンドメディア採用
- リファラル(紹介)採用
- アルムナイ(退職者)採用
- ソーシャルメディア採用
- エージェント採用
多様化する求人手法を理解し、自社に合った採用活動ができていない企業は置いていかれてしまいます。こうした求人手法の多様化や働き方の多様化が採用活動の難易度を上げています。
インターネット・SNSの普及
インターネットやスマートフォンの普及により、世界のどこにいても働くことができるようになったり、企業について知ることができるようになったりしています。SNSを通して企業とやり取りをすることもできます。
こうした時代の変化が、求職者のアルバイト応募にも大きく影響しています。企業が発信していることだけではなく、口コミの投稿や一般人の呟きで意図せぬネガティブな印象を与えてしまうこともあります。
求人広告を見て求職者が応募する前に、ホームページや口コミ検索で評判を調べることは、もはや当たり前の行動になっています。
アルバイト採用に苦戦している企業の中には、もしかしたら自社発信以外の原因が見つかる可能性もあります。自社にとってネガティブな書き込みや評判がないか、意識することも重要です。
採用戦略を立てよう
採用市場を取り巻く環境を把握したら、さっそく戦略を立てましょう。やみくもに求人広告を出したり、なんとなく振り返りを行ったりするのではなく、「〇〇をしたら■■が見込めるだろう」という仮説立てと検証を繰り返すことが重要です。
戦略の立て方についてプロセスを解説するので、一つずつ確認してみてください。
採用ターゲット・ペルソナを整理する
1つ目は、採用ターゲット・ペルソナを設定することです。
アルバイト採用の場合、期待するハードルが低く正社員よりもターゲット設定が甘くなりがちです。誰でも良いという求人広告は誰も集まりません。どんな人物が欲しいのか、整理していきましょう。
その際のポイントは次のとおりです。
- 属性(学生・主婦・シニアなど)
- 年齢や性別
- 性格
- 資格や経験
- 応募の際に重視すること
こういった点を踏まえて、具体的に1人の人物がイメージできるくらい細かく考えてみましょう。
さらに重要なことは、ターゲットを一つに絞る必要はないということです。
「どうしても若い人でなければいけない」という凝り固まった考えを捨て、主婦層を獲得しにいったらすんなり採用ができた上に、細かい配慮や温かみのある対応がプラスに作用したという話もあります。
ターゲットを3つくらい設定して、「自社と相性が良いのはどんな人材だろう?」というABテストを繰り返しても良いです。正解のない求人活動だからこそ、こういった戦略が重要です。
採用計画を整理する
2つ目は、採用計画を作成することです。まずは過去の採用活動を洗い出して、1人採用するのにどのくらいコストがかかったのか計算してみてください。
たとえば、10万円の求人広告を掲載して5人の応募、2人の採用ができたとします。その場合、応募単価は2万円で採用単価は5万円になります。
予算を決定するときにこの考えは非常に重要です。「なんとなく予算10万円」と決めるのではなく、想定応募や面接・採用数を割り出すと、計画的な予算管理をすることが可能です。
予算が決まったら、年間でいつの時期に何回募集をかけられるかイメージしましょう。トータルコストや採用目標人数を決めることで、先の見通しも立てやすくなります。
採用手法を選定する
3つ目は、採用手法の選定です。前段でも紹介したように採用手法は多様化しています。効率良く優秀な人材との出会いにつなげるためには、どのような手法・ツールを使用するかが大切なポイントです。
たとえば、〇〇大学の1年生が欲しい場合は、次のような方法などが効果的です。
- サークルのSNSへ発信する
- 新入生歓迎会にチラシを配る
- 〇〇大学出身のスタッフが活躍しているという文言を広告に掲載する
ターゲットの生活や思考をイメージすることで、的外れなアプローチを防ぎ、よりリアルな手法を想像しやすくなります。ステップ1つ目で設定した具体的なターゲットは、ここで採用手法を決めるのに役立ちます。
複数のターゲットを狙う場合は、採用手法を組み合わせて決めていきましょう。それぞれの効果の違いを検証することで、自社との相性が良いターゲットが見えてきます。
応募後のプロセスを整理する
4つ目は、応募後のプロセスを整理することです。ここでのポイントは「面接をキャンセルされてしまう」「応募から面接日設定までに返信がなくなってしまう」という悩みが多い方にとって非常に重要です。
- 応募から返信のスピード感
- 電話対応の明るさ
- 面接日前のリマインド連絡
など万全の体制が整えられているか振り返りましょう。
求職者は、複数社並行して応募をすることが多いため、競合他社よりも早く・印象良く・丁寧な対応が必須です。面接日の前日にはメールや電話で「明日の面接よろしくお願いします」という連絡を入れて見たり、番号を通知したメールを先に入れてから電話をかけてみたりといった工夫を積み重ねることで、誠実さは伝わります。
他のアルバイトスタッフにも協力してもらいながら、求職者を気持ち良く迎えられる環境を整備しましょう。
面接内容を整理する
5つ目は、面接内容の整理です。
面接は求職者の志望度を高められる唯一のチャンスです。面接中の姿勢・内容に問題はないでしょうか?
<基本的な面接の流れ>
- 自己紹介
- 志望動機
- 履歴書を見て気になる点があれば質問
- 仕事内容や働き方の確認
- 質問受付
面接中、スマホや時計を無意識に見たり、身体の向きが無意識に外向きになっていたりすることがあります。求職者は、面接官が自分に興味を持っているのか敏感に察知するため、大きくマイナスに働きます。
「なぜあんなに盛り上がったのに辞退されてしまうのだろう?」とお悩みの方は一度面接中の対応についてスタッフに見てもらうと良いです。自分にはわからない癖や課題が見つかる可能性があります。リラックスして話しやすい雰囲気を作りつつ、できるだけ紳士的な対応を心がけましょう。
採用戦略を成功させるポイント
計画した採用戦略を成功させるには、次の4つのポイントを押さえておきましょう。
採用力について理解する
1つ目のポイントは「採用力」です。採用力は造語ですので、明確な定義があるわけではありません。
ここでいう採用力とは、次のように分解することができます。
採用力=(企業としての魅力)×(募集条件)×(時期)×(募集媒体)×(応募対応)×(面接)×(内定者フォロー)
7項目を数値化したときに、どのくらいの数値になるのかをイメージするものです。
この項目は掛け算なので、どれか1つでも0の場合、採用力は一気に落ちます。
費用を多くかけて求人広告を掲載していても、面接対応が雑になってしまえば採用は上手くいきません。この場合、広告にさらに課金するよりも、面接フローを見直すことが優先されます。
逆に、企業の魅力が飛びぬけて良い会社は、他の数値が多少低くても採用に苦戦しないで済むかもしれません。採用力を高めるためには、それぞれの数値を上げる努力を行うことが重要です。
また、採用力の考え方を理解することは、課題の抽出にも役立ちます。「今回の募集は時期が良くなかった」「企業力に頼って面接対応に時間を避けなかった」など振り返りの際に確認してく観点として参考にしてください。
自社の魅力について洗い出す
2つ目のポイントは、自社の魅力について向き合うことです。次の3点をメインに考えてみましょう。
- 自覚している魅力
- 相場と比較した時の魅力
- 新しくプラスできそうな魅力
自覚している魅力とは、たとえば「うちのお店は休みの日もBBQするくらい仲が良い職場」「シフト変更を希望しているスタッフがいたらみんなで積極的にカバーしている」といった自社の魅力のことを指します。なるべく細かく思い出して、他社との差別化をはかることが重要です。
相場と比較したときの魅力を知るためには、平均相場を知る必要があります。求人広告などの営業担当に伝えれば、平均時給や平均応募数などのデータをもらうことができるため、気軽に相談してみましょう。
相場と比較した際に、時給が高かったり働きやすい待遇が見つかったりすれば、アピールポイントになります。また、新しくプラスできそうな魅力とは、待遇を作り出すことです。
「元々週5日のフルパートを募集していたけれど、応募数を増やすために週2日から勤務OKにしてみよう」という取り組みは大きなメリットになります。
魅力がなかなか見つからないという場合は、こうして作り出すことも視野に入れてみましょう。3点を踏まえて自社のアピールポイントを見直すことで、広告や面接でのスムーズなアピールができ、優秀なアルバイト採用につながります。
アルバイトの育成方法について見直す
3つ目のポイントは、アルバイトの育成方法について見直すことです。採用活動に育成は直接関係ありませんが、アルバイトの採用が上手な企業は人を大切にすることができるため、採用活動も上手くいきやすいケースが多いのです。
さらに、研修制度が充実していることや、具体的に入社後のフローを面接時に説明することができるため、採用活動におけるメリットにもなりやすいです。
アルバイトの業務内容はシンプルで簡単にできる作業が多いです。だからこそ、「どのように簡単なのか?」「何ができれば昇給できるのか?」について説明できると良いでしょう。
効率良く人材を補充していくためには、長く働いてくれるスタッフを育てるという観点も忘れてはなりません。
SNSを活用する
4つ目のポイントは、SNSの活用です。
スマートフォンの普及により幅広い世代にとってSNSは身近な存在となりました。気軽に発信・拡散ができるSNSは、採用活動にも役立ちます。
企業の情報・募集条件・職場の雰囲気・スタッフの声などを発信することで「ここで働きたい」というエンゲージメントを高めることも可能です。
Twitterは、140文字の呟きが気軽で、拡散力が高いという強みがあります。Instagramは、写真やショート動画といったビジュアルで若者層にアプローチできます。Facebookは、中高年をメインにつながりを持つことができます。YouTubeは、動画を通して一番リアルを伝えることができます。
それぞれの媒体の特性を活かして、リーチしたいターゲット層にアプローチしていくことが重要です。求人広告や採用ホームページよりもリアルタイムな情報を継続して発信していくことができるので、さっそく活用していきましょう。
時期とトレンドを把握する
5つ目のポイントは、採用ターゲットが活発に動いている時期と、落ち着く時期を把握して活動することです。たいていは、ターゲットに関連するイベントにリンクするケースが多いです。
<大学生>
- 授業の抽選が終わった後
- 長期休暇中
- 長期休暇後でお金がない時期
- 就活が終わった後
<主婦>
- こどもの長期休暇明け
- 新生活や新学期スタートの後
大学生は学校に合わせることが多く、主婦は夫や子どもの予定に合わせることが多いです。こういった時期を狙って採用活動をすることが重要です。また、コロナ禍や災害など特別な動きがあるときにも慎重に見極めましょう。
競合の数が少ないタイミングに先手を打つと考えるか、ターゲットの動きがもっとも活発な時期に活動するかで結果は大きく異なります。欠員が発生してから慌てて対応するのではなく、あらかじめ不測の事態に備えていきましょう。
まとめ
アルバイト採用は、戦略的に行うことで成功に近づきます。現在行っている活動を見直すきっかけを作ることで、コストカットや長期的な人材不足の解消につながります。
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