テイクアウトの許可

テイクアウトの需要が増加している昨今、売上アップのためにテイクアウトを始めたいと考えている飲食店は多いでしょう。テイクアウトを始めるにあたっては、許可や届出が必要かどうか、どのような手順で導入準備を進めれば良いのか気になりますよね。

そこで今回は、飲食店がテイクアウトを始めるのに許可が必要なケースや、テイクアウトを始める手順、注意点などを徹底解説します。

飲食店がテイクアウトを始めるのに許可は必要?

飲食店がテイクアウトを始めるにあたっては、特別な許可や届出が必要かどうか気になりますよね。ここでは、飲食店がテイクアウトを始める際に必要な許可についてわかりやすく解説します。

店内で提供する商品であれば許可は不要

結論からお伝えすると、基本的に飲食店がテイクアウトを始めるのに許可は不要です。すでに「飲食店営業」の許可を取得している飲食店が、店内で提供しているメニューをテイクアウトとして販売する場合、基本的に新たに許可を取る必要はありません。

ただし、取り扱う食品の種類やテイクアウト導入の形態によっては、新たな営業許可が必要な場合もあります。そのため、「許可は必要ないだろう」と思う場合であっても、念のため最寄りの保健所に相談することをおすすめします。

テイクアウトを始めるのに許可が必要なケースの詳細は、次章で詳しくお伝えしていきます。

テイクアウトに新たな営業許可が必要な場合

飲食店がテイクアウトを始めるにあたっては、新たな営業許可や届出が必要になる場合もあります。ここでは、許可が必要になる主なケースを4つ紹介します。

テイクアウトに新たな営業許可が必要な場合

・特別許可が必要な食品を取り扱う場合
・酒類を取り扱う場合
・店舗の厨房以外で調理する場合
・テイクアウト専門店を新たに開業する場合

別途許可が必要な食品を取り扱う場合

店内で以前から提供しているメニューをテイクアウトで販売する場合であっても、取り扱う食品の種類によっては別途許可が必要になることがあります。

たとえば、飲食店で製造したアイスクリームや自家製の生麺、乳製品などの食品を販売したい場合、それぞれ下記の許可・届出が必要になります。

必要な許可・届出

・菓子類:菓子製造業
・食肉製品:食肉製品製造業
・アイスクリーム:アイスクリーム類製造業
・生麺:麺類製造業
・乳製品:乳製品製造業

これらの食品は、店内で提供する場合は「飲食店営業許可」のみで問題ありませんが、テイクアウト用に販売するには別途許可が必要です。無許可で販売していたことが発覚すると、法令違反となってしまうので厳重な注意が必要です。

酒類を取り扱う場合

普段からお店で酒類を提供している酒場や料理店であっても、テイクアウト用に販売するには「酒類小売業免許」が必要になります(参照元:国税庁)。

許可なしにお酒をテイクアウト用に販売した場合、酒税法違反となってしまうため、注意しなければなりません。

店舗の厨房以外で調理する場合

開業した際に許可を得た店舗の厨房以外の場所で、テイクアウト用の商品を調理したい場合も、保健所の許可が別途必要になります。

また、祭りやイベントの屋台のような形式で屋外調理をする場合も、同様に保健所への相談が必要です。

テイクアウト専門店を新たに開業する場合

現在営業している飲食店とは別に、テイクアウト専門店を新たに開業する場合は、出典エリアを管轄する保健所で「飲食店営業許可証」を取得する必要があります。新たにキッチンカーなどでテイクアウトの営業を始める場合も同様に、設備基準を満たし許可を取得することが求められます。

テイクアウト専門店を開業する場合についても、上述したように販売するメニューによって取得が必要な許可が異なるため、保健所に相談することをおすすめします。

飲食店がテイクアウトを始める方法・手順

続いて、飲食店がテイクアウトを始める方法を手順ごとに解説します。

飲食店がテイクアウトを始める方法・手順

1. 保健所に確認を取る
2. テイクアウトに適したメニューを考える
3. テイクアウト容器を準備する
4. デリバリー導入の有無を検討する
5. テイクアウトの告知を行う

保健所に確認を取る

先ほどお伝えしたように、販売する商品や販売の方法によっては追加で営業許可が必要になるケースがあります。

また、自治体によって対応が異なることもあるため、テイクアウトを始めるにあたっては基本的に保健所に確認を取ると安心です。おおまかなレシピや表示見本などを準備した上で、保健所に確認を取りましょう。

テイクアウトに適したメニューを考える

テイクアウトでは、店内飲食のように提供後すぐに食べてもらえるとは限らないため、テイクアウトに適したメニューを考える必要があります。冷めても味や見た目が落ちにくい料理を商材に選ぶようにしましょう。

また、詳しくは後述していますが、衛生面の観点から食中毒のリスクが高いメニューは避けたり、提供方法を変更したりすることも必要です。

テイクアウト容器を準備する

次に、テイクアウト用の容器を準備します。容器選びで大切なポイントは、いかに品質・味を落とさずに持ち帰ってもらえるかどうかです。販売するメニューに合わせて適切な容器を選びましょう。

消費期限の表示は必要?

飲食店が注文に応じてその場で食品を対面(テイクアウト・デリバリー)で販売する場合、消費期限などの食品表示の義務はありません。

ただし、販売方法によっては「食品表示法に基づく表示」が必要な場合もあるので、事前に確認しておくと安心です。また、食中毒のリスクを下げるため、容器に「本日中にお召し上がりください」と書かれたシールを貼るなどして、顧客に速やかに食べるように知らせることが推奨されています。

デリバリー導入の有無を検討する

テイクアウトの導入準備と並行して、デリバリーを行うかどうかを検討しましょう。店舗受け取りのみとするか、配達まで行うかどうかは重要な経営判断となります。

デリバリーも導入する場合は、配達を自社で行うのか、あるいはフードデリバリーサービスを利用するのかも選定します。自店舗の人員確保の状況やサービスの初期費用、手数料などを考慮した上で、適切な形態を取り入れましょう。

テイクアウトの告知を行う

テイクアウトに注力するのであれば、PR・告知を行い、利用者にテイクアウトを実施していることを認知してもらうことが欠かせません。テイクアウト・デリバリーに参入しても、近年では競争が激化していることもあり、PR・告知が十分にできていなければ利用を伸ばすことは難しくなります。

Retty株式会社が実施した調査では、消費者がテイクアウトの実施を知った経緯として、「SNS」が約41%、「お店の前の看板」が約38%という結果が出ています。お店の看板やPOPでの告知に加えて、SNSなどのオンライン集客ツールを使って店舗を利用したことがない顧客に向けてテイクアウトの告知を行うと効果的でしょう。

飲食店がテイクアウトを始める際の注意点

続いて、飲食店がテイクアウトを始めるにあたって留意すべき注意点を4つ紹介します。

注意点

・衛生管理を徹底する
・生ものや半熟卵、レア肉などの提供は控える
・価格を高く設定しすぎない
・許可が不要だと思える場合も保健所に相談する

衛生管理を徹底する

テイクアウトでは、店内飲食と比べて調理してから顧客が食べるまでの時間が長くなるため、食中毒のリスクが高まります。店内飲食用の調理で普段から行っている衛生管理を徹底し、普段以上に衛生管理に注意しましょう。

厚生労働省は、テイクアウトやデリバリーにおける衛生管理として、次の5つのポイントを挙げています。

ポイント

・テイクアウトやデリバリーに適したメニュー・容器か
・お店の規模や調理能力に提供数が見合っているか
・食品は中心部まで十分に加熱しているか
・保冷剤やクーラーボックス、冷蔵庫、温蔵庫などを活用しているか
・速やかに食べるように顧客に知らせているか

参照元:新たにテイクアウトやデリバリーを始める飲食店の方へ:厚生労働省

これらのポイントをしっかり実行し、店内飲食と同様にテイクアウトでも、お客さんに安心・安全においしく食事を楽しんでもらえるように努めましょう。

生ものや半熟卵、レア肉などの提供は控える

上でも少し触れましたが、テイクアウトでは生ものや半熟卵、レア肉などの提供は控えましょう。十分に加熱していない卵や肉、魚は、食中毒のリスクが高くなるからです。特に気温と湿度が高くなる梅雨から夏の時期にかけては注意が必要です。

たとえば、半熟卵が乗ったサラダを店内で提供している場合、テイクアウト用には半熟卵の代わりにゆで卵を使うなど、提供方法を工夫すると良いでしょう。

価格を高く設定しすぎない

テイクアウトでは、価格設定にも注意が必要です。店内で提供している料理と同じ値段で販売すると割高感が出てしまうことがあるため、基本的にテイクアウトのほうが価格を安く設定する必要があります。

実際に、ホットペッパーグルメ外食総研が行った消費者アンケートによると、テイクアウトの一人一食分あたりの平均単価は、ランチで「1,054円」、ディナーで「1,708円」となっています。

消費者はテイクアウトを利用する際、ランチで1,000円程度、ディナーで2,000円弱の価格帯を求めているため、テイクアウトでは一食3,000円〜といった高価な価格設定は避けるのが無難でしょう。

許可が不要だと思える場合も保健所に相談する

テイクアウトを始めるにあたっては、許可が不要だと思える場合であっても保健所に相談することをおすすめします。というのも、ここまででお伝えした通り、メニューにない食品を新たに販売する場合や、店内で提供しているメニューでも種類や販売方法・規模によっては許可が必要になることがあるためです。

確認せずにテイクアウトを始め、万が一無許可営業だったことが判明すれば、法令違反となり多大な被害を受けるリスクがあります。迷った時は、安易な自己判断はせず、最寄りの保健所に相談するようにしましょう。

まとめ

飲食店がテイクアウトを始めるのに許可が必要なケースや、テイクアウトを始める手順、注意点などについて解説しました。

店内で提供している商品を持ち帰り用に販売する場合、基本的には許可なくテイクアウトを始めることができます。しかし、取り扱う商品の種類や販売方法によっては無許可営業となるリスクもあるため、迷ったときは管轄の保健所に相談することをおすすめします。

今回紹介した内容を参考に事前準備を進め、安心・安全なテイクアウトの導入を目指しましょう。

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