新型コロナウイルスの感染拡大により急激に増加した持ち帰り専門店やデリバリーサービス。感染拡大の防止だけではなく、お客様と店舗両方にとって多くのメリットがある事業形態なのです。
時代の流れもあり、持ち帰り専門店が増加している中、成功するポイントや開業に向けての細かい流れについて解説します。
持ち帰り専門店を開業する流れ
まずは、持ち帰り専門店の開業に向けての流れについて解説していきます。流れを理解することで、やるべきことの優先順位が見えてくるはずです。
ステップ1:開業スケジュール・必要資金の計画を立てる
ステップ2:開業資金を調達する
ステップ3:店舗物件を探す
ステップ4:店舗の設備工事・内装工事
ステップ5:営業許可を取る
ステップ6:オペレーションを決める
ステップ1:開業スケジュール・必要資金の計画を立てる
まずは、持ち帰り専門店の開業に向けての全体スケジュールと必要資金を洗い出しましょう。
持ち帰り専門店は、通常の飲食店と比較して小規模での開業が可能です。とはいっても、家賃や工事費用、運営に必要な物品の費用など、しっかりと計画する必要があります。
一般的に必要な資金と相場は次のとおりです。
- 店舗物件の初期費用:100万円
- 工事費用:100万円
- 材料費:20,000円/月程度
- 容器など備品の費用:20,000円/月程度
また、スケジュールとしては、物件探しから、契約・工事・荷物等の運び込み・オペレーションの調整等を踏まえ、開業当日まで約半年〜1年かかると考えておきましょう。
ステップ2:開業資金を調達する
開業に必要な資金の洗い出しができれば、資金調達の方法を考えましょう。調達方法には、主に次の3種類が挙げられます。
- 自己資金
- 銀行の融資を受ける
- 補助金や助成金制度を活用する
開業のために自己資金を十分蓄えていれば問題ありませんが、資金に余裕がない方も多いでしょう。その場合、銀行に相談して融資を受けることが一般的です。
初めての開業の場合は実績がなく、融資の審査に通らないケースも珍しくありません。ただ、銀行によって審査基準は違うため、他の銀行では審査が通ることも大いにあり得るでしょう。
融資が受けられない場合は、国や自治体の助成金や補助金を活用するのも一つの手です。持ち帰り専門店が利用できる補助金制度には、次のようなものがあります。
- 事業再構築補助金:新型コロナウイルスの流行により、売上の減少があり、新たな事業への参入や事業の再構築を行う事業者を対象とした補助金
- 小規模事業者持続化補助金:小規模事業者の販路開拓を支援する補助金
補助金制度には申請する上での条件が定められているため、事前に概要や募集要項をしっかりと読み込むことが重要です。
ステップ3:店舗物件を探す
資金調達の目処がついたら、拠点となる物件を探しましょう。
持ち帰り専門店では、比較的規模が小さい物件でも運営が可能ですが、ポイントとなるのは店舗の立地です。ビジネスマンなのか、家族連れなのか、ターゲットを明確にした上で、そのターゲットが商品を買って帰ることを想定して、立地や物件を吟味しましょう。
ターゲットの設定によって、オフィス街に出店するのか、住宅街に出店するのか、営業時間は何時から何時までなのかなど、お店の方針が明確になります。
また、物件を借りずにキッチンカーで移動販売を行うという方法もあります。キッチンカーの場合は、店舗を借りるよりも場所代を節約できるという利点がありますが、提供予定のメニューや立地に適合しているのかどうかも合わせて考えることが重要です。
ステップ4:店舗の設備工事・内装工事
物件が決またら、店舗の内装や設備を整えていきます。以前の入居者が同じく持ち帰り専門店として営業していた場合は、居抜きで入居すれば工事費用を抑えることができますが、そうでない場合は、内装と設備を作り上げていかなければなりません。
設備工事や内装工事を行う場合、店舗の規模にもよりますが、100万円程度を見込んでおくと安心でしょう。持ち帰り専門店として、通行人の目を引くデザインと、スムーズなオペレーションを意識した設備を作ることが重要です。
ステップ5:営業許可を取る
持ち帰り専門店を開業する上で忘れてはならないのが、営業許可を取ることです。持ち帰り専門店においても、通常の飲食店と同様、管轄エリアでの「飲食店営業許可証」を取得する必要があります。
また、食品衛生管理者の資格も必要となるため、開業の際には事前に取得しておくことをおすすめします。営業許可証を取得するには、店舗の衛生面やキッチン設備などにおいて、定められた基準を満たさなければなりません。
ただし、管轄の保健所によって審査基準が異なるため、出店予定のエリアを管轄する保健所に事前に問い合わせておくと良いでしょう。
ステップ6:オペレーションを決める
内装や設備も整い営業許可が降りたら、いよいよオープンまであとわずかです。営業開始に向けて、実際にお客様が来店したことを想定し、注文をどのように受けるのか、必要な備品や容器をどこに置けば良いか、提供方法はどうするのか、すべてしっかりとシミュレーションしてルールを定めていきましょう。
アルバイトや社員を新たに雇用する場合は、丁寧に教育や指導を行い、スムーズにお店が回るよう、常に改善していく意識が重要です。
実践形式でのシミュレーションが無事スムーズに行われるようになれば、いよいよ開店です。お客様のニーズを汲み取りながら、良いお店作りに励んでいきましょう。
持ち帰り専門店のメリット
持ち帰り専門店は、ここ2〜3年で急激に増加しました。最も大きな理由は、新型コロナウイルスの感染拡大だと考えられます。
人が集まる飲食店ではなく、テイクアウトを選ぶ人はどんどん増えているため、その需要に答えて持ち帰り専門店の数も増加しているのが現実です。
では、持ち帰り専門店のメリットはどのような部分にあるのでしょうか?ここでは、持ち帰り専門店のメリットについて解説していきます。
・ウイルス感染リスクを軽減できる
・軽減税率を適用できる
・家賃・人件費・光熱費などの費用を削減できる
ウイルス感染リスクを軽減できる
持ち帰り専門店のメリット1つ目は、ウイルス感染リスクを軽減できることです。
通常の飲食店では、多くの人が集まりマスクを外して食事や会話を楽しむため、その分感染リスクが高くなる可能性があります。もちろん、そのような楽しい空間を提供することは飲食業として非常に重要ですが、歴史的なパンデミックが起こってしまった現代において、飲食店のように感染リスクが高まる場所を避ける人が多いことも事実です。
持ち帰り専門店であれば、感染リスクを軽減できるという安全性を訴えることもでき、お客様に安心感を与えられます。現代では避けられない新型コロナウイルス感染拡大防止の取り組みにおいて、有利に働くのが持ち帰り専門店なのです。
軽減税率を適用できる
持ち帰り専門店のメリット2つ目は、軽減税率を適用できることです。
令和元年(2019年)に消費税が10%に引き上げられたのは、記憶に新しいでしょう。それと同時に、テイクアウトや宅配の対象商品は、消費税が8%となる軽減税率制度が実施されました。
飲食店に出向いて食事をする場合は消費税が10%、テイクアウトや持ち帰りの場合は消費税が8%となったのです。
つまり、お客様側からすると、消費税率が8%になる持ち帰り専門店で買い物をした方が節約できるというメリットがあります。よって、税金の節約の面から、飲食店ではなく持ち帰り専門店を選んでもらえる可能性が高くなると考えられるのです。
家賃・人件費・光熱費などの費用を削減できる
持ち帰り専門店のメリット3つ目は、家賃・人件費・光熱費などの費用を削減できることです。
持ち帰り専門店は、店内にお客様が飲食するスペースは必要ないため、必然的に10坪程度の狭いスペースで営業することが可能となります。
また、店舗が狭く厨房設備が小規模であることにより光熱費が節約できたり、ホールスタッフが不要なため人件費が削減できたりと、店舗運営における資金面でのメリットが多くあるのです。
持ち帰り専門店のデメリット
持ち帰り専門店を運営する上では、そのデメリットについても理解しておく必要があります。持ち帰り専門店のデメリットとして考えられるポイントは次のとおりです。
・容器代・備品代がかかる
・持ち帰り対応のメニューを考える必要がある
・客単価が低くなる
それぞれについて解説していきましょう。
容器代・備品代がかかる
持ち帰り専門店のデメリット1つ目は、容器代・備品代がかかることです。
持ち帰り専門店と通常の飲食店を運営する上での大きな違いは、使い捨て容器の必要の有無といえるでしょう。持ち帰り専門店では、商品を自宅や職場に持ち帰って味わってもらうために、持ち運び用の容器が必須となります。
通常の飲食店では、お皿の上に乗せて提供し、洗ってまたそのお皿を再利用できますが、テイクアウトの場合は、便宜上使い捨ての容器を店舗側が用意する必要があります。そのため、その分の費用がかかるのです。
持ち帰り対応のメニューを考える必要がある
持ち帰り専門店のデメリット2つ目は、持ち帰り対応のメニューを考える必要があることです。
持ち帰り専門店では、商品を提供してからお客様が実食するまで、一定の時間が空くことは避けられません。特に、夏場や湿気が多い時期は、衛生面・菌の繁殖などにも気を配ることが重要です。
たとえば、お刺身やユッケなどの生ものを夏場にテイクアウトで提供するのは、衛生面を考えるとかなり危険だと考えられるでしょう。このように、持ち帰り専門店では、提供できるメニューが限られてしまうことも、一つのデメリットとして押さえておきましょう。
客単価が低くなる
持ち帰り専門店のデメリット3つ目は、客単価が低くなることです。
持ち帰り専門店では、通常の飲食店のように席についてスタッフのサービスを受けることもなく、手軽に美味しいものが味わえるというイメージが定着しています。そのため、客単価を高額に設定することはなかなか難しく、薄利多売の世界であることは否めません。
ただし、客単価を上げる工夫はいくらでも考えられる上に、ブランディングやSNSなどの活用次第では単価を上げたり、原価率を下げたりすることができます。
客単価と客数をしっかりとシミュレーションしながら、店舗運営の計画を立てていきましょう。
持ち帰り専門店の経営を成功させるポイント
デメリットはあるといっても、持ち帰り専門店の需要は年々増加しています。しかし、その分店舗数も増えているため、他店舗との差別化を図り、経営方針をしっかりと考える必要があるのです。
最後に、持ち帰り専門店の経営を成功させるポイントについて解説していきます。
・デリバリーサービスを活用する
・リピーターを増やす工夫をする
・SNSやネットを活用して集客する
デリバリーサービスを活用する
持ち帰り専門店の経営を成功させるポイント1つ目は、デリバリーサービスを活用することです。
新型コロナウイルスの感染拡大により、「Uber Eats」をはじめとするオンラインのデリバリーサービスが頭角を現しています。スマホ一台で注文でき、家にいながら美味しい食事を楽しめるデリバリーサービスは、今や人々の日常に溶け込みつつあります。
持ち帰り専門店を運営するのであれば、デリバリーサービスへの登録・加入は必須といえるでしょう。店舗の前を通ったことがないお客様でも、メニューやブランドイメージに魅力を感じ、注文してくれることを期待できます。
リピーターを増やす工夫をする
持ち帰り専門店の経営を成功させるポイント2つ目は、リピーターを増やす工夫をすることです。
通常の飲食店でも持ち帰り専門店でも、リピーターを増やすことは非常に重要です。もちろん、商品の質や美味しさなどからリピーターが増加することも考えられます。
しかし、「ポイントカード」や「クーポン」の配布など、お客様に「また来たい」と思ってもらえるような戦略を立てることも重要です。
中でも、現代では安価でお店のポイントカードを作ったり、LINEでメルマガを送れたりするアプリやサービスなども多く普及しています。お客様の年代や、時代の変化に合わせたマーケティングに取り組んでみましょう。
SNSやネットを活用して集客する
持ち帰り専門店の経営を成功させるポイント3つ目は、SNSやネットを活用して集客することです。
現代の流行は、SNSやネットから生み出されているといっても過言ではありません。魅力的なSNS投稿を行えば、その投稿がきっかけに来店者数が急激に増えることも考えられます。
ターゲットにもよりますが、今の若い世代の流行を司っているSNSを使いこなすことで、今後の集客もスムーズにうまくいくことが期待できます。同様の業種やテイクアウト店の中で、SNSで人気の店舗やバズっている店舗などを参考に、ブランディングに力を入れていくことも非常に重要な戦略となるでしょう。
まとめ
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、持ち帰り専門店が戦国時代を迎えています。しかし、まだまだ完全な収束は見えない世の中で、今後も持ち帰り専門店の需要は維持または上昇することが考えられるでしょう。
ライバルが多い持ち帰り専門店で成功するためには、今もなお大人気のデリバリーサービスを活用する、SNSでブランディングに力を入れる、リピーターを増やすなどの工夫と戦略が必要です。特に、リピーターはお店の口コミを広めてくれたり、店舗の根強いお客様となってくれたりと、非常に重要な役割を担う存在。
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