SNS集客成功事例

Webサービスを使った集客施策は、高いコストパフォーマンスが期待できることから、多くの企業が運用を行っています。中でもSNSは優れた発信力を有しており、有効活用できれば心強い味方となります。

今回は、SNSを使った集客に成功するためのポイントについて、実際の活用事例を参考にしながら紹介します。

主要なSNSの特徴

まずは、日本で広く普及している主要なSNSのそれぞれの特徴について確認しましょう。

Facebook

Facebookは、アメリカのMeta社(旧Facebook社)が運営する、SNSのパイオニアとも呼べるサービスです。世界で最も利用されているSNSの一つで、2022年時点でのアクティブユーザーの数は19億5,000万人を上回ります。

実名でのアカウント登録が必要ということもあり、現実で既に知り合っている人同士がオンラインでも交流することに使われる傾向の強いサービスです。テキストに限らず、動画や写真などのコンテンツを共有することができ、お互いの近況を報告し合うために用いられるなど、現実の生活と強く結びついていることが特徴です。

年齢層は他のSNSより高く、ある程度キャリアのあるビジネスパーソンが利用する傾向が強い点もFacebookの特色の一つといえます。

Instagram(インスタグラム)

Instagram(インスタグラム)も、Facebook同様にMeta社が運営するSNSです。Instagramは写真や動画の共有に特化したサービスとして展開されており、ユーザーの多くは10〜30代の若年層に集中しています。

とにかくフォトジェニックな画像や動画を広く共有することに特化したプラットフォームとして機能しており、新しいユーザーやコンテンツとの出会いを後押しする仕組みが整っているため、企業はInstagramをきっかけとしたブランド認知の拡大や、商品の販売促進を積極的に進めています。

Twitter

Twitterは、アメリカのTwitter社が運営するテキスト主体のSNSです。FacebookやInstagramと並んで広く認知されているサービスですが、特に日本で多くのユーザーを抱えており、企業も集客施策の一環として有効活用を進めています。

140文字という限られた文字数制限の中で気軽に情報発信や意見交換ができることから、口コミによるブランド認知拡大に優れた場として注目を集めています。Twitterのユーザー年齢層は若い世代に固まっているものの、40〜60代の利用者も少なくなく、比較的幅広い層に受け入れられているサービスです。

LINE(ライン)

LINEはZホールディングス株式会社参加のLINE株式会社が運営する、テキストメッセージをやり取りすることに重きを置いたSNSです。

従来のメール感覚で利用されることが一般的ですが、趣味のオンラインコミュニティに参加したり、写真・動画の共有ができたりといったソーシャル機能も充実していることから、インターネット利用のプラットフォームとして重宝されています。

LINEは企業の公式アカウントを作成し、クーポンの配布やお得なキャンペーン情報の配信にも利用できることが特徴です。メールマガジンのような感覚で運用し、新規顧客開拓や既存顧客との接点を維持することができます。

SNSを活用した集客でできること

SNSを活用した集客施策を実行することで、企業はさまざまなメリットを期待することができます。ここでは、SNSを活用した集客でできることについて解説します。

ターゲットを絞った訴求

詳細にユーザーのターゲティングを行えることが、SNSによる集客でできることの一つです。

そもそも、SNSはそれぞれのサービスによって主な利用者の年齢層が大きく異なります。そのため、自社のターゲットが利用していそうなSNSを選定することで、ある程度ターゲティングを行った状態から集客施策を展開することができます。

また、各SNSは独自の広告機能を有しており、広告料金を支払うことで、通常の投稿よりも高い訴求効果を発揮することができます。SNS広告は単に表示回数を増やすだけでなく、自社に関心のありそうなユーザーを絞り込んだ上でアピールできるため、広告費を無駄にする心配はありません。

口コミによる自然なブランド認知

SNSを通じて情報発信を続けていると、SNSユーザーが自社アカウントをフォローしてくれるだけでなく、ファンの一人として自らが自社の情報発信に貢献してくれることもあります。ユーザーという第三者からの情報発信が持つ影響力は非常に高く、企業が自らプロモーションするよりも信頼性の高い情報として世間に受け取られます。

ユーザー発信の情報がまた別のユーザーに伝播し、そこからさらに他のユーザーへ口コミが伝わっていくことで、自社アカウントだけでは得られなかった宣伝効果の獲得につながるケースも珍しくありません。

SNSはネット上で口コミが生まれる貴重なプラットフォームであるため、口コミが生まれやすい場で情報発信に努めることにより、消費者間での認知度向上を推進することができます。

長期的なファン獲得

継続してSNS上でのコンテンツ発信を行っていると、次第に自社アカウントのフォロー数が増え、企業アカウントそのものが強力な発信力を有するようになります。影響力のある媒体として自社のアカウントを育てられれば、流行り廃りに左右されないファンの獲得を進め、継続して自社商品へ高い関心を抱いてもらえます。

期間限定キャンペーンやクーポンの配布は短期的な集客効果しか期待できませんが、継続的なSNSへのコンテンツの投稿は、従来の集客施策よりも長期的な目線で効果的なファン獲得につながります。

SNSの集客成功事例:Facebook

ここからは、国内企業による実際のSNS運用成功事例について紹介していきましょう。まずは、Facebookの運用事例について紹介します。

株式会社良品計画

無印良品のFacebook

引用元:無印良品公式Facebookページ

生活雑貨やインテリア、食品など幅広いライフスタイル用品を手掛ける株式会社良品計画は、自社ブランド「無印良品」の認知拡大に向け、Facebookの活用を進めています。フォロワー数は2022年8月時点で103万人を超え、優れた影響力を発揮するアカウントです。

同社の主な運用方法は、ブログ形式での情報発信です。特定の紹介したい商品について、具体的な商品イメージや使い方をテキストと商品画像を使って説明し、具体的な利用イメージが伝わるような情報発信が心がけられています。

文末には、紹介した商品の購入ページへのリンクが用意され、ユーザーはスムーズに購入することができるようになっています。また、投稿頻度も1日に2〜3件と多く、継続的で頻繁な発信が効果的であることを証明しています。

株式会社Loco Partners

ReluxのFacebook

引用元:宿泊予約サービスRelux(リラックス)Facebookページ

宿泊施設予約サイト「Relux」を運営する株式会社Loco Partnersは、ホテルや旅館の美麗な画像を用いてSNS集客に成功している会社です。

同社の最大の武器として、フォトジェニックな写真の数々が挙げられます。美しい写真は、それだけでSNS上では強力な集客効果を生むため、「Relux」というサービスに直接興味がない人でも、写真目当てでアカウントをフォローする場合もあります。

SNSに求められている、心安らぐコンテンツの需要を満たすとともに、同社が取り扱う宿泊施設のプロモーションも達成する一挙両得を実現し、2022年8月現在のフォロワー数は113万人を突破しています。

株式会社MonotaRO

モノタロウのFacebookページ

引用元:モノタロウFacebookページ

製造業・工事業向けの消耗品や事務用品を取り扱う販売サイト「モノタロウ」を運営する株式会社MonotaROは、ビジネスパーソンが多いFacebookの利用者層に注目し、BtoB関連の情報発信に努めています。

ブログで発信しているさまざまな専門コンテンツの概要を紹介するだけでなく、メディアに取り上げられた際もFacebookで告知を欠かさず、認知拡大に向けてこまめなコンテンツ作成に取り組んでいます。

フォロワー数は2022年8月現在で9,300人ほどですが、BtoB向けサービスであることを踏まえると、同業種の中では高い発信力を有している方といえるでしょう。

SNSの集客成功事例:Instagram(インスタグラム)

続いて、Instagram(インスタグラム)上でSNS集客に成功している企業を紹介しましょう。

株式会社大創産業

ダイソーInstagram公式アカウント

引用元:ダイソー公式アカウント

100円ショップの「ダイソー」を運営する株式会社大創産業は、2022年8月時点で179万人を超えるInstagramのフォロワーを有している、BtoC企業としては驚異的な集客に成功している会社です。

同社が力を入れているコンテンツは、取扱商品の紹介や有効活用方法についての情報発信です。入荷予定の新商品についてのプロモーションはもちろん、意外な商品の使い方、売れている人気商品の説明など、商品の数だけ幅広いコンテンツ発信の方法があることがわかるアカウントです。

また、定期的にDIYコンテストを開催し、フォロワーからの写真投稿を呼びかけることで、商品の販売促進とユーザーとのコミュニケーションを両立するといった、一方的な情報発信にならないような取り組みにも力を入れていることがポイントです。

積水ハウス株式会社

積水ハウスのInstagramアカウント

引用元:積水ハウス株式会社Instagramアカウント

住宅メーカーである積水ハウス株式会社は、さまざまな角度から商品である注文住宅を紹介し、通常の広告やCMでは伝わりにくい商品説明をInstagramで行っています。

モデルルームや実際のクライアントの家を訪問し、室内や外観を紹介しながらテキストでも説明を加えることで、注文住宅を検討している人に効果的な宣伝を進めています。

また、ハッシュタグを使って積水ハウスの住宅の投稿をクライアントから募ることにより、ユーザーとの交流や口コミによる宣伝効果の向上施策にも力を入れています。

株式会社講談社

講談社絵本通信

引用元:講談社絵本通信

出版社である株式会社講談社は、絵本に特化したInstagramアカウントを立ち上げ、高いターゲティング効果を発揮しています。

書籍のジャンルは非常に多様であるため、本全般を紹介するとブランドイメージを固めることが難しいですが、同社では絵本に特化したアカウントを運用することで、絵本に需要のあるユーザーだけに焦点を当てる戦略を採用しました。

絵本にはカラフルでフォトジェニックな描写も多いことから、Instagramとの親和性も高く、2022年8月現在は3万人というユーザーの獲得に成功しています。

SNSの集客成功事例:Twitter

続いて、Twitterを使ったSNS集客を進めている国内企業を紹介します。

日本エイサー株式会社

日本エイサーのTwitter

引用元:日本エイサー公式アカウント

パソコン関連商品を扱う日本エイサー株式会社は、Twitterを使った積極的な情報発信を進めることで、プロモーションとファンとの交流を実現しています。

カジュアルな言葉遣いで、若年層のユーザーとのコミュニケーションを意識した運用方法を採用し、ゲーマー世代へのプロモーション効果と、ファン層の構築を着実に進めてきました。

2022年8月現在は16.3万人ものフォロワーを獲得しているだけでなく、適宜Twitter広告も活用し、新規顧客の獲得に向けたアピールにも力を入れています。

セメダイン株式会社

セメダインのTwitter

引用元:セメダインのTwitter

接着剤メーカーのセメダイン株式会社では、一般消費者にはあまり知られていない、接着剤に関する専門的な豆知識を細かく発信することで、根強いファンの獲得に成功しています。

接着剤に絡めた投稿をTwitter上で毎日行い、「セメダイン」という言葉のイメージを刷り込んだり、接着剤の必要性について気づいてもらえるようなきっかけ作りを行ったりしています。

また、できるだけTwitterの担当者のパーソナリティがわかるような投稿を心がけ、プライベートな話や趣味の話を織り交ぜることで、親近感を持って交流ができるアカウント運営を実行してきました。

エムケイ株式会社

MKタクシーTwitter

引用元:MKタクシー公式Twitter

タクシー会社のエムケイ株式会社では、若年層にタクシーを利用してもらえるようにという課題設定からTwitter利用を始め、積極的なユーザーとのコミュニケーションに力を入れることで、高い運用効果を実現しました。

Twitterユーザーからの返信にはできるだけ素早く返信を送ったり、ドライバーの写真付きツイートを投稿したりすることで、人間味のあるアカウント運用を心がけ、少しずつファンを拡大していく運用方針を採用しています。

結果、Twitter上では7.9万人というフォロワー数を獲得し、ファンとの交流を楽しみながらプロモーション活動を軌道に乗せています。

SNSの集客成功事例:LINE(ライン)

メッセンジャーアプリとしての印象が強いLINE(ライン)も、SNS集客施策の一環として多くの会社で運用が進んでいます。

鎌倉市役所

神奈川県鎌倉市役所では、ふるさと納税のPRにLINEを活用し、他の媒体の5倍というクリック率を達成しています。

同市が運用する「鎌倉市ふるさと基金」への納付を募るべく、LINE広告を活用して3ヶ月間のプロモーション活動を行なったところ、市への寄附金額が前年度比1.5倍の約17億円に到達しました。

行政らしさを感じられない、洗練されたデザインの広告を巧みに活用することで、鎌倉市のPRとふるさと納税の魅力を自然とアピールし、ユーザーの関心をうまく惹きつけることに成功しています。

参照元:クリック率が他媒体の約5倍!ふるさと納税のPRを成功させた鎌倉市のLINE広告活用(LINE for Business)

アサヒビール株式会社

飲料メーカーのアサヒビール株式会社は、家庭用生ビールサービス「THE DRAFTERS」のプラットフォームをLINE上に構築することで、ストレスのないユーザー体験を届けることに成功しています。

会員向けのビールサーバーをサブスクリプション形式で提供する同サービスは、サービスの申し込みや問い合わせ対応を全てLINEで行えるシステムを導入しています。これにより、ユーザー側の混乱を最小限に抑えられるのはもちろん、運営側も対応を一本化できるため、効率的なサービスの提供を行えます。

同サービスの情報発信についてもLINE上で完結できる仕組みを構築し、LINE経由での認知とサービス利用を両立することで、サービス開始から1年で2万人の会員獲得に成功しています。

参照元:アサヒビールの家庭用生ビールサービス「THE DRAFTERS」が、 LINE公式アカウント起点で設計されている理由とは(LINE for Business)

琴平バス株式会社

香川県の観光バス会社である琴平バス株式会社では、予約忘れや乗車直前の問い合わせ対応を行うべくLINEを活用しています。

同社が運用するLINE公式アカウントに登録しておくことで、予約した乗客は予約日時が近づくとLINE経由でリマインドを受け、バスを逃してしまったり、予約内容の変更が遅れてしまったりするアクシデントを回避できます。

また、公式アカウントはキャンペーンやメールマガジンの配信にも有効活用されており、多くのファン獲得にも貢献しています。同社ではLINEの運用開始以降、2ヶ月で4,000人をこえるユーザーから友だち追加を獲得し、メールマガジンなどのメッセージ開封率は70%を超えるなど、高い集客効果を実現しています。

参照元:予約忘れや問い合わせが減少!友だち追加率7割を実現した観光バス会社が語る「LINE通知メッセージ」の効果(LINE for Business)

成功事例からわかるSNS集客のポイント

上記のような成功事例を参考にすると、大きく分けて次の3つのポイントに集約することができます。

ターゲットを明確にする

SNS運用においてまず重要なのは、ターゲットを明確にすることです。自社ターゲットが若年層ならTwitter、ビジネスパーソンならFacebookと、ターゲットを明らかにすることで、運用すべきSNSやコンテンツの発信方法が明確化します。

まずは、自社の課題や売りたい商品の特徴を洗い出し、ターゲットを明らかにするところから始めると良いでしょう。

目的に最適なSNSを選定する

目的に合わせて最適なSNSを選定することも集客には欠かせません。

若年層向けのSNSは複数ありますが、ターゲットが若年層かつ積極的な他者との交流を求めているのであれば、テキスト主体で発信ができるTwitterが強みを発揮します。また、ターゲットが美しい画像や動画を求めているのであれば、これらのコンテンツを発信する機能が充実しているInstagramの出番といえるでしょう。

ターゲットについての分析を進め、彼らが最も使っている、あるいはニーズを解消するための手段として採用しているSNSを見極めることが大切です。

ユーザーの共感につながるコンテンツを発信する

SNSは、あくまでユーザーとの交流の手段であるため、ターゲットとの接点を持てるコンテンツ発信が重要です。

上記の成功事例では、多くの企業のSNS担当者が自身のパーソナリティを明らかにする投稿に力を入れていましたが、これはユーザーの共感を促すためです。企業アカウントだからといって肩肘を張ることなく、親しみやすいブランドイメージを構築することが、SNS集客のポイントの一つです。

まとめ

SNS集客の成功事例を交えながら、SNS集客のポイントを紹介しました。

SNSにはさまざまな種類がありますが、運用の際にはターゲットの特徴やニーズに合わせたサービス選びが重要です。それぞれのSNSが有する機能も多様であるため、まずは主要なサービスが持つ仕組みや強みについて実際に運用しながら学習し、自社で運用するのに最適なサービスを見極めると良いでしょう。

また、SNSは短期間で成果を発揮することは難しく、中長期的にファンを獲得し、高い発信力を獲得する必要があります。気長な運用を前提として、試行錯誤を繰り返しながら地道に運用を続けましょう。