電子決済

国内の電子決済比率が上昇傾向にある近年、消費者の多様なニーズに応えるには電子決済の導入が不可欠になりつつあります。しかし、一口に「電子決済」といっても、さまざまな決済方法があるため「どれを導入すべきかよくわからない」とお悩みの飲食店経営者の方も少なくないでしょう。

そこで今回は、電子決済の種類を、具体例を挙げながらわかりやすく紹介します。電子決済を導入するメリット・デメリットや導入方法についても説明していますので、ぜひ参考にしてください。

電子決済とは

電子決済とは、硬貨や紙幣などの現金を用いることなく、デジタルデータの送受を行って処理する決済方法のことです。電子決済の他に、「オンライン決済」や「キャッシュレス決済」などとも呼ばれます。

電子決済には、交通系や流通系、クレジットカード系、QRコード決済など、さまざまな種類があります。なお、決済方式によって、「プリペイド型」「デビット型」「ポストペイ型

の3種類に分類することもできます。

近年、電子決済は、ECサイトや飲食店・小売店などの実店舗などで幅広く導入が進んでいます。消費者は、現金とクレジットカード以外にも多用な決済方法から好みの方法を選択して支払いができる時代となっています。

国内における電子決済比率の推移

日本国内における電子決済の比率は年々上昇傾向にあります。

一般社団法人キャッシュレス推進協議会が発表する「キャッシュレス・ロードマップ2022」によると、2021年における決済比率は「32.5%」でした。2017年以降、キャッシュレス決済比率は毎年「+2.0%以上」で急速に伸びており、2021年も対前年比で「2.8%」の増加を記録しています。

「32.5%」という数字をどう捉えるかは人それぞれですが、電子決済の普及が年々進んでいることは確かな事実です。政府や各業界団体がキャッシュレス決済を推奨していることもあり、今後さらなる電子決済の普及拡大が見込まれます。

電子決済の種類:決済方式編

日常で使われている電子決済は、利用者の支払い方法(支払いのタイミング)によって3つの種類に分けることができます。

  • プリペイド型:事前に現金をチャージしておく
  • デビット型:決済直後に口座から利用代金が引き落とされる
  • ポストペイ型:後から利用代金が請求される

プリペイド型

1つ目は、「プリペイド型(先払い型)」の電子決済です。あらかじめカードに現金をチャージしておくことで、残高の範囲内で支払いに利用することができる仕組みです。

たとえば、SuicaやPASMOなどの交通系電子マネー、nanacoやWAONなどの流通系電子マネーがプリペイド型に該当します。チャージ残高の範囲内でしか使えないため、数百円〜数千円といった少額決済で利用されることが多いのが特徴です。

デビット型

2つ目は、「デビット型(即時支払い型)」です。決済を行った直後に金融機関の口座から利用代金が自動で引き落とされる仕組みです。

具体例としては、デビットカードやインターネットバンキングなどがあります。連携している金融機関の口座残高の範囲内でしか利用できないため、使いすぎを防ぎつつ現金のような感覚で利用できるのが特徴です。

ポストペイ型

3つ目は、「ポストペイ型(後払い型)」です。決済を行った後日に利用料金が請求されます。たとえば、クレジットカード情報と連携させて利用する「iD」や「QUICPay」などは、ポストペイ型の電子決済の一種です。

事前チャージ不要で使えて便利な反面、クレジットカードと同様に使いすぎには注意が必要です。

電子決済の種類:発行会社編

電子決済は、発行会社によって下記の4種類に分けることもできます。それぞれの種類の特徴と具体例を順に詳しく解説していきましょう。

  • 交通系
  • 流通系
  • クレジットカード系
  • QRコード決済系

交通系

電車やバスなどの交通機関で、乗車券・定期券として利用できる電子マネーです。交通機関の改札機にかざすだけで乗り降りできたり、自販機や売店で買い物できたりと利便性に優れています。

また、各交通系ICカードは加盟店も多く、日常的な買い物やサービス利用にも全国で幅広く利用されています。学生から社会人、高齢者まで幅広い年齢層に利用されている点も特徴です。

Suica

「Suica」は、JR東日本が発行するICカードです。鉄道やバスの利用はもちろん、日常のお買いものなど、さまざまなシーンで、全国各地で利用されています。2001年に開始されたサービスで、2004年からは店舗利用、2006年からはモバイルSuicaの提供も開始されました。

スマホで使える「モバイルSuica」を使えば、場所と時間を問わずクレジットカードやApple Payなどでチャージすることも可能です。

PASMO

PASOMO

「PASMO」は、株式会社パスモが発行するICカードです。SuicaやICOCA、Kitacaなどの交通系ICカードとの相互利用ができます。クレジットカードとオートチャージ機能が付いたPASMOが1枚になった「一体型PASMO」も人気です。

流通系

大手スーパーマーケットやコンビニエンスストアなど、流通業者が発行する電子マネーです。交通系と同様、現金をチャージして利用する方法が一般的です。

加盟店での買い物時の利用を前提に発行されており、利用金額に応じてポイントが貯まり、貯まったポイントをチャージして買い物に使えるなど、加盟店での買い物にお得に利用できるという特徴があります。

nanaco

nanaco

「nanaco」は、株式会社セブン・カードサービスが提供するプリペイド型の電子マネーです。カードとモバイルがあり、お金をチャージして支払いに使うことができます。全国のセブン-イレブンやイトーヨーカドーをはじめ、全国90万店舗以上で利用可能です。

買い物のたびにポイントが貯まり、貯まったポイントは「1ポイント=1円分」として電子マネーに交換して利用することができます。

WAON

waon

「WAON」は、イオンリテール株式会社が発行するプリペイド型の電子マネーです。お金をチャージすることで、全国約103万9000カ所(2022年8月現在)で買い物などに利用することができます。

WAONで200円(税込)を支払うごとに1ポイントが貯まる仕組みになっており、貯まったポイントは電子マネーに交換して買い物に使うことが可能です。

クレジットカード系

クレジットカード情報を連携して利用できるポストペイ型の電子決済サービスです。専用のカードまたはスマホをかざして決済を行い、後日登録したカードのクレジットカード会社から請求される仕組みです。

クレジットカード決済と似ていますが、カードの差し込みや暗証番号の入力、署名が不要な分スムーズな決済を実現することができます。

iD

iD

「iD」は、株式会社NTTドコモが提供する電子マネーです。iD対応のクレジットカードやデビットカード、メルカリペイなどさまざまなカード・サービスに対応しており、スマホや専用の「iD」付きカードに登録するだけで簡単に利用することができます。

iDは日本全国で約175万台以上導入されており、コンビニやスーパー、レストランなどさまざまなシーンで利用されています。

QUICPay

QUIC Pay

QUICPayは、株式会社ジェーシービーが提供する非接触型の決済方法です。182社以上のクレジットカードやデビットカード、プリペイドカードに対応しており、スマホに読み込むだけで、加盟店で利用することができます。

QUICPayは、全国186万カ所以上の場所で利用が可能で、使えるお店は順次拡大しています。

QRコード決済系

QRコード決済系は、スマホ画面に表示されるQRコードを店舗へ提示、あるいは店舗のレジに設置されているQRコードをスマホで読み込んで決済する方法です。

キャッシュレス・ロードマップ2022」によると、コード決済の支払額は2020年にデビットカードを上回り、電子マネーの支払額に近づきつつあるなど、近年急速に普及が進んでいる決済手段です。また、同調査ではコード決済は利用件数が多く比較的利用単価が低い傾向にあることも明らかになっています。

PayPay

PayPay

「PayPay」は、PayPay株式会社が提供する、日本国内でNo.1の利用率を誇るQRコード決済サービスです。の2022年9月時点で、5,100万人のユーザー数を誇り、加盟店舗数は374万カ所を超えています。

お店に設置されているQRコードを読み取る、あるいは顧客がバーコードを提示するだけで、スマホ一つで簡単に支払いをすることができます。また、PayPayユーザー同士での送金にも対応しています。

LINE Pay

LINE Pay

「LINE Pay」は、LINE Pay株式会社が提供するモバイル送金・決済サービスです。国内最大級のコミュニケーションアプリ「LINE」から手軽に利用できるのが特徴です。

LINE Payは、コード決済をはじめ、Apple Pay/Google Payに対応した非接触決済や、クレジットカードに対応した後払いなど、さまざまな決済方法に対応しています。2021年にはPayPayとの連携を開始し、LINE Pay加盟店に加えて、PayPay加盟店でも利用することができます。

電子決済を導入するメリット

ここまで、電子決済の種類を紹介しました。では、これらの電子決済を導入することで飲食店をはじめとした店舗にどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、主なメリットを3つ紹介します。

メリット

・会計業務を効率化できる
・顧客の取りこぼしを防げる
・客単価を向上できる

会計業務を効率化できる

電子決済を導入することで、会計業務を効率化し、レジの回転率を高めることができます。電子決済では、現金の受け渡しがない分、素早く会計を済ませることが可能です。

実際に、株式会社ジェーシービーが実施した「決済速度に関する実験」では、キャッシュレス決済は現金よりも「16秒」速いという結果が出ています。なお、QUICPayなどの非接触型に限っては現金よりも「20秒」速く決済できることが明らかになっています。

会計業務が効率化されることで、顧客満足度の向上や人件費の削減などのうれしい効果も期待できます。

顧客の取りこぼしを防げる

電子決済を導入して幅広い決済方法に対応することで、決済方法がないことによる顧客の取りこぼしを防げます。

たとえば、顧客の中には「利用金額に応じてポイントを得られる〇〇Payを使いたい」という人や、「現金とクレジットカードは持ち合わせていない」という人も少なくありません。そんなとき、多様な決済手段を用意しておけば、購入機会の損失を防止し、売上を伸ばすことができます。

顧客ニーズの多様化に伴い決済手段も多様化している昨今、電子決済を導入し幅広い決済手段に対応することは販売機会を増やすことにつながります。

客単価を向上できる

電子決済を導入すると、顧客の取りこぼしを防ぐことによる売上の向上に加えて、客単価の向上も期待できます。というのも、電子決済の場合、顧客は現金の持ち合わせがないときでも支払いをすることができるからです。

また、電子決済は現金決済と比較して、「お金を使っている」という感覚が薄れることや、決済方法によっては支払いのタイミングが後日になることから、顧客が「欲しい」と感じたタイミングを逃がさずお金を使ってもらいやすいというメリットもあります。これらのことから、電子決済を導入すると客単価の向上も期待できます。

電子決済を導入するデメリット

電子決済を導入することには、少なからずデメリットも存在します。デメリットについても知った上で最終判断ができるように、確認しておきましょう。

デメリット

・決済手数料がかかる
・初期費用や固定費がかかる

決済手数料がかかる

電子決済を導入するデメリットは、決済手数料がかかることです。顧客が電子決済で支払いをすると、利用金額の数%の決済手数料が発生します。

決済手数料は手段やサービスによって異なりますが、「キャッシュレス決済実態調査アンケート」によると「3%台前半」が大半を占めています。決済手数料は店舗側が負担する必要があるため、現金決済と比較してコストがかかります。

しかし、電子決済を導入していないことによる顧客の取りこぼしや販売機会の損失を考えれば、メリットの方が大きいといえます。また全体でキャッシュレス決済の比率が年々増加していることからも、電子決済の導入は売上の向上に不可欠になりつつあります。

初期費用や固定費がかかる

電子決済を導入するにあたっては、初期費用や固定費なども発生します。電子決済を導入するには、各決済手段に対応した決済端末やPOSレジシステムなどを揃える必要があるため、数万円〜の初期費用がかかることが珍しくありません。

中には、初期費用が無料な場合もありますが、その場合は固定費や決済手数料が高いことがあるため注意が必要です。初期費用と固定費、決済手数料をトータルで見て、判断することが大切です。

電子決済の導入方法

電子決済を導入する方法は、大きく分けて2つあります。

電子決済の導入方法

・決済サービスと直接契約を結ぶ方法
・決済代行会社を利用する方法

決済サービスと直接契約を結ぶ方法

1つ目の方法は、導入したい決済サービスと直接契約を結ぶ方法です。サービスによって、発行元に加盟店として申込む場合と、加盟店契約会社を通して申込む場合があります。Suica、PayPay、QUICpay……と1社ずつ契約する必要があるので、複数の電子決済に対応したい場合はやや手間がかかります。

決済代行会社を利用する方法

電子決済の導入方法の2つ目は、決済代行会社を利用する方法です。決済代行会社とは、事業者と電子決済機関との間を仲介し、契約や決済・入金処理を行ってくれる会社のことです。

一つの決済代行会社と契約を結ぶだけで複数の電子決済を導入できるので、手間やコストを抑えられるというメリットがあります。

まとめ

電子決済の種類と導入のメリット・デメリット、導入方法などについて紹介しました。

電子決済は、年々決済比率を順調に伸ばしており、今後もさらなる普及の拡大が見込まれます。決済手段が多様化する今の時代、電子決済の導入は顧客ニーズに対応するために必要不可欠ともいえます。

本記事で紹介した電子決済の種類や導入メリット・デメリットを参考にして、これを機に自店舗での電子決済の導入を検討してみてはいかがでしょうか?

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