カフェの先払い

大手カフェチェーンやファーストフード店で主に導入される先払い。注文・会計を商品提供の前に行い、カウンター上で商品提供も行うことが一般的です。

大手チェーン店では活発に取り入れられている印象があるかもしれませんが、近年では小規模店舗や個人経営の店舗でも導入されつつあります。店舗のコンセプトやサービス内容によっては、規模が小さくてもお客様のニーズに合わせることができたり、売上が増加したりと、ビジネスとしてのメリットも多いのです。

今回は、カフェ運営において先払いにするメリットや必要となるシステムなど、導入に必要な知識を徹底的に解説していきます。

先払いとは?

まずは、先払いについての基本をおさえていきましょう。

先払いとは、主に飲食店において、お客様に商品を提供する前に注文・決済を行うことです。お客様と店員がカウンターを通してコミュニケーションをとり、注文・決済が完了した後、その場でお客様が商品を受け取り席につくという流れが一般的です。

その他、注文と決済のみ先に行い、商品は店員がお客様の席まで持っていくケースもあります。主に大手のカフェチェーン店やファーストフード店の決済方法をイメージすると良いでしょう。

先払いの導入事例

では、実際にどのように先払いが導入されているのか、事例を紹介していきます。

スターバックスコーヒー

スターバックスコーヒーは、日本に1,700店舗を構えるシアトル発の大手コーヒーチェーンです。

スターバックスコーヒーでは、まずカウンターにて注文・決済を行います。一部のフードやスイーツメニューなどはショーケースに並べられ、お客様自身でピックアップしたり、ショーケースを指差して注文したりすることが可能です。

注文・決済の後はドリンク提供カウンターから商品が提供されます。

マクドナルド

マクドナルドは、日本に約3,000店舗を構えるカリフォルニア発の大手ファーストフードチェーンです。

マクドナルドでは、注文・決済・商品の提供まで全てカウンターで行われます。キッチンがカウンターの裏に設置されているため、注文された商品をすぐにキッチンへ連携でき、スムーズな商品提供が可能です。

一般的には、注文時に番号が記載されたレシートを発行し、その番号に基づいて商品が提供されます。

ブルーボトルコーヒー

ブルーボトルコーヒーは、全国に約26店舗を展開するコーヒー専門店です。スターバックスコーヒーやマクドナルドと比較すると価格帯は上がりますが、支払いについては同様に先払い方式を導入しています。

また、先払いをして商品の提供を待っている間、カウンターからコーヒーを作る工程を見ることができます。素材や製法にこだわっている印象を与えられ、ブランディング確立の手助けにもなっているのでしょう。

COFFEE VALLEY

COFFEE VALLEYは、東京の池袋にあるスペシャルティコーヒー専門店です。他の事例とは異なり、チェーン店ではありませんが、支払いは先払い方式を採用しています。

このように、チェーン店だけでなく個人店においても先払い方式を導入することで業務改善が可能です。

先払いを導入するメリット

では、先払いを導入することによって得られるメリットにはどのようなものがあるでしょうか?ここでは、先払いを導入する4つのメリットについて具体的に解説していきます。

主に利便性やスムーズなサービスに満足してもらえた場合は、お店のリピート率も上がり更なる売上の増加を見込めるでしょう。

メリット

・従業員の手間が削減できる
・店内の混雑が防げる
・注文間違いや混乱が生じにくくなる

従業員の手間が削減できる

1つ目のメリットは、「従業員の手間が削減できる」ことです。

先払いでは、基本的に1〜2つのカウンター上で注文・決済・商品の提供が完了します。従業員が移動するエリアを限定することで、業務の手間が削減され、人員コスト削減にもつながるのです。

店内の混雑が防げる

2つ目のメリットは、「店内の混雑が防げる」ことです。

先払いでは、サービスの提供場所が1箇所にまとめられているため、従業員やお客様の動線が一定になります。お客様の行動が明確に見えるため従業員が計画的に行動でき、業務ルールを確立しやすいため店内の混乱や混雑の防止が可能です。

注文間違いや混乱が生じにくくなる

3つ目のメリットは、「注文間違いや混乱が生じにくくなる」ことです。

先払いでは、お客様が注文してからすぐ決済を行うため、従業員による注文忘れや聞き間違いを防ぐことができます。また、注文を取る人と商品を作る人の距離が近く、従業員同士での密なコミュニケーションを図ることができ、お客様の注文や業務についての混乱が生じにくくなるのです。

後払いと比較した際の先払いの特徴

続いては、後払いと比較した際の先払いの特徴について解説していきます。

なお、ここでいう後払いとは、商品を注文・決済し飲食を済ませた後に会計を行うことを指します。ここまでは先払いのメリットについて解説しましたが、後払いと比較するとビジネスを行う上では留意しておかなければならない点もあります。

特徴

・客単価が上がりにくい
・回転が悪くなるおそれがある
・客自身が席を確保する必要がある

客単価が上がりにくい

1つ目の特徴は、「客単価が上がりにくい」ことです。要因としては主に、追加注文をしにくいためです。

先払いでは、注文・決済をカウンターなどの定められた場所で行う必要があります。そのため、追加で注文する場合は、お客様自身が席を立たなければなりません。

特に、カフェという店舗形態の性質上、「コーヒーを飲みながらゆっくりする・リラックスする」ことを求めているお客様も多く、わざわざ自分が席を立って注文しにいく行為を面倒に感じてしまうのです。そのため、追加注文が得られず客単価は上がりにくい特徴があります。

一方で、後払いを導入する店舗では、従業員がお客様の席まで出向くため、お客様の手間はかかりません。追加注文もしやすくなります。

後払いの店舗では、追加注文の度に従業員とお客様との交流が生まれ、料理やドリンクについての説明からより深い関係性を築けたりもするでしょう。このような交流が先払いでは生まれにくいことも、理想のコンセプトによってはデメリットとなってしまいます。

回転が悪くなるおそれがある

2つ目の特徴は、「回転が悪くなるおそれがある」ことです。

先払いでは会計がすでに終わっているため、後は飲食を終えて退店するのみです。時間制限を設けていない限りその後の過ごし方はお客様の自由になるため、飲食を終えた後も長時間の滞在が可能です。

よって回転が悪くなり、客数や売上が減少してビジネスとしてはデメリットとなるおそれがあります。

客自身が席を確保する必要がある

3つ目の特徴は、「客自身が席を確保する必要がある」ことです。

先払いでは、従業員はお客様に席の案内をしないのが一般的で、お客様自身が席を確保しなければなりません。また、確保した席に提供された商品を持っていくのもお客様自身のため、従業員の手間が省ける分お客様自身が行うことが増えます。

業務の効率化を優先したい場合は問題ありませんが、お客様へのサービスを重視する場合はデメリットとなる可能性があるでしょう。

先払い導入に必要なシステムや仕組み

笑顔のカフェ店員とお会計をしようとする女性

先払いのメリットや特徴について理解したら、続いては実際の店舗運営において必要なシステムや仕組みを押さえておきましょう。

即会計が可能なPOSシステム

先払いの導入に必要なシステムとして、「即会計が可能なPOSシステム」が挙げられます。即会計とは、システムにおいて注文を入力した後そのまま会計に移ることです。

今では、多くのシステムで即会計が可能となっていますが、店舗の支払い形態を先払いに絞る場合は、先払いをメインとして運用できるシステムを選びましょう。

特にカフェの中には、コーヒーやその他ドリンクをテイクアウトで提供する店舗も多くあります。よって、テイクアウトとイートインの切り替えがスムーズなシステムがおすすめです。

会計エリア近辺で商品を提供できる仕組み

店舗を運営する際に必要なのが、「会計エリア近辺で商品を提供できる仕組み」です。

カフェで先払いを導入する場合は、注文・会計・商品提供を同じエリアで行う必要があります。注文と会計については、POSシステムによってスムーズに行えますが、問題は商品提供の段階です。

注文を受けたらキッチンもしくはドリンク作成用のカウンターですぐに商品を作り始め、商品提供も会計カウンターもしくは会計カウンターの近くで行う必要があります。

よって、ドリンクやフードの作成は会計カウンターの近くに設置ができるよう、店舗の間取りや設計から考えなければなりません。会計カウンターから厨房が離れている場合、厨房から商品提供カウンターへ従業員が持っていくなどの手間が発生し、先払いの恩恵を受けられなくなります。できるだけ、狭い範囲で商品の提供まで完了するような店舗・仕組み設計が重要です。

先払いを導入する際の注意点

先払いの仕組みを導入する際の注意点は、主に2つあります。カフェ運営に向けて自身が理想とする店舗を想定した上で考えて行きましょう。

注意点

・利便性だけで導入を決めない
・客が事前注文に困らないような仕組みを作る

利便性だけで導入を決めない

先払いを導入する際に注意すべき1つ目のポイントは、「利便性だけで導入を決めない」ことです。

先ほど解説したように、先払いには従業員の移動範囲が限定できたり、手間が削減できたりと店舗運営側が利便性を感じられるようなメリットがあります。

しかし、店員の手間が省けると、お客様のやることが増えます。混雑を抑えてスマートに注文から商品提供まで行うことが必要な場合は先払いがマッチする可能性が高いです。

一方で、「お客様とのコミュニケーションを重視したい」「最高級の料理や接客サービスを提供したい」などのビジョンを持つ場合は、先払いがマッチしないおそれがあります。お店を作る前のコンセプトやサービス内容によって支払い方法を変えることも店舗運営には必要です。

今一度、先払いが自身の店舗運営に合致しているのかについて考えてみましょう。

客が事前注文に困らないような仕組みを作る

先払いを導入する際に注意すべき2つ目のポイントは、「客が事前注文に困らないような仕組みを作る」ことです。

先払いでは、お客様がカウンターに設置されているメニューを見て注文するのが一般的でしょう。そのため、お客様がスムーズに注文を決められるよう、メニューに盛り込む情報量を多くするのがおすすめです。

メニューの情報量が少なすぎる場合、お客様は悩んだり従業員に質問したりする必要があるため、注文までに時間がかかりカウンターに行列ができてしまうことも考えられます。これでは利便性のある先払いのメリットを生かせません。

カウンターの上だけでなく、メニューの掲示を増やしたり、説明文や画像を掲載したりと、わかりやすいメニューにする工夫をしましょう。

まとめ

カフェ運営における先払いのメリットや後払いとの違い、必要なシステムや仕組みについて解説してきました。先に会計を済ませ、商品提供までを1ヶ所にまとめることにより従業員の業務効率化やスムーズな商品提供を実現できます。

メリットもありますが、実際に理想としている「店舗のコンセプト」や「お客様にどう思っていただきたいか」などを考えたうえで、導入について考えましょう。

先払い・後払いに関わらず、飲食店として重要なのは「お客様に満足していただくこと」「また来たいと思っていただくこと」です。先払いではお客様とのコミュニケーションが取りにくいというデメリットもありますが、これを解消してくれるのが、バイトルドットコム等を提供している当社ディップ株式会社が提供する「常連コボットforLINE」です。

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