ポイントカードの管理方法

店舗利用の回数や購入金額に応じて独自のポイントを付与するポイントカードの制度は、日本国内で今や広く普及しており、一定の成果をあげています。

しかし、サービスのデジタル化やスマートフォンの登場により、紙のポイントカードを使った制度運用はデメリットの側面が大きくなっており、テコ入れの必要性も高まってきました。

今回は、ポイントカードのメリットを最大限活用でき、管理にも適した仕組みづくりを進めるための方法やおすすめサービスについて解説します。

ポイントカード運用の課題

ユーザーは店を利用すればするほどお得な特典を受けられることから、ポイントカードはリピーターの獲得に大きく貢献してきました。しかし、今日においてはポイントカードが初めて登場したときほどの効果を発揮できておらず、むしろデメリットが目立つケースもあります。

ここでは、従来型のポイントカード運用における課題について整理してみましょう。

カード本体がかさばる

1つ目の課題は、カード本体がかさばってしまう点です。

ポイントカードにはさまざまな形態があり、2枚折りのスタンプカードや、ICチップで管理している磁気カードに至るまで、実際に集めてみると実に多くの種類があります。

これらのポイントカードは、いずれも一つのお店やグループ会社でしか利用することのできないポイントカードであることが多いため、キャッシュカードやクレジットカード、そして現金に比べるとその重要性は劣ります。

ポイントカードを新しい店舗へ行くたびに発行するのは良いものの、それなりのサイズがあるため、常に持ち歩きすることが難しく、財布の中をかさばらせてしまう原因になっています。

最近では、ミニマル志向の消費者も増えてきており、財布の中は最低限の物を入れておくだけにとどめようという機運も高まりつつあります。キャッシュレス決済が一般的となりつつある中、小銭やお札といった現金も持たない人が増えてきており、ポイントカードなどは一番に断捨離の対象となります。

そのため、せっかくポイントカードを発行しても、長期にわたって利用してもらうことが年々難しくなっているのが現状です。

カードの発行コストがかかる

2つ目の課題は、カードの発行コストがかかる点です。紙製やプラスチック製のポイントカードを発行することは決して無料でできることではなく、相応の費用がかかります。

ポイントカードの発行によってリピーターを獲得でき、それによって採算が取れるのであれば良いですが、ポイントカードを発行してもリピーターの獲得につながっていないのであれば、ポイントカードを発行するだけ損失が増えてしまいます。

また、ポイントカードは発行してすぐ顧客に渡すわけではないため、手渡すまで保管しておくスペースを必要とします。限られたスペースで店舗経営をしなければならないにもかかわらず、効果が今ひとつ期待できないポイントカードの保管のために店舗を圧迫されるというのは良いことではありません。

カード発行に伴う負担についても、ポイントカードのメリットが薄くなる中で懸念されている問題なのです。

カード紛失に伴う再発行の負担がかかる

3つ目の課題は、カード紛失に伴い再発行の負担が発生する点です。

ポイントカードを個人情報などと紐づけておかず、カードに記録されている情報だけがすべての場合、カードを紛失してしまった際にはこれまで蓄積されてきたものがゼロになってしまいます。そのため、リピーターを失ってしまうリスクが高くなると考えられます。

カードの再発行の際にも、発行費用を購入者に負担してもらうことになったり、たとえ無料で発行できたとしても店舗側の負担となってしまったりするため、紛失によって誰かが得をすることはありません。

また、カードを所有しているのにもかかわらず、当日持ってきていないからといってポイントを付与してもらえないケースにおいても、店舗を訪問する意欲を減退させてしまいます。最近では、個人情報を登録の上ポイントカードを発行するお店もありますが、それでもカード本体を失くしてしまうとポイント制度を受けられないパターンが散見されます。

ポイントカード制度の魅力が購入者のカード管理能力に左右されてしまうのは、損失につながりやすいといえます。

ポイントカードの電子管理とは

上記のようなポイントカード制度が抱える課題を解消する上で、近年注目を集めているのがポイントカードの電子管理です。ポイントカードの電子管理とは、ポイントカード本体をすべて電子化し、カード情報も一元的に専用のポイントカード管理システムに記録することで、デジタルでポイントカード活用ができる仕組みのことです。

スマホの普及により、今や多くのポイントカードはスマホアプリへと移行し、さまざまな店舗で活躍している様子がうかがえます。スマホを出すだけでポイントカードを利用できるだけでなく、データを完全にシステムサーバーで管理するため、顧客情報が失われてしまう心配もありません。

店舗にとっても消費者にとっても利便性が高いサービスであるため、大企業はもちろん個人レベルでも運用の進むサービスです。

ポイントカードの電子化が進んでいる

ポイントカードの電子化の波は、至る所で見られます。

たとえば、家電量販店大手のビックカメラは、国内でも早期からポイントカード制度を導入し、リピーターの獲得へ積極的に取り組んできました。2022年7月現在、ビックカメラのポイントカード制度はスマホアプリに統合されており、スマホアプリを立ち上げバーコードを購入の際にかざすだけで、ポイントが加算される仕組みになっています。

会員情報やポイント情報をスマホアプリから直接立ち上げて確認できるため、非常に便利なサービスとして広く利用されています。

また、飲食店のポイント制度としては、ケンタッキーフライドチキンのデジタルポイントカードが代表的です。ファストフードショップの代表格である同店では独自のスマホアプリを活用することで、独自のマイルシステムを構築し、獲得マイルに応じたクーポンの配布などの特典提供に努めています。

単価の安い商品ほど、リピーターの存在は重要です。ポイントカードの電子化によって、ポイント制度をフル活用できる体制を整えました。

消費者が独自にカードを電子化するサービスも普及しつつある

最近では、ポイントカードの電子化に伴い、消費者が自らポイントカードを電子化できるサービスも普及しています。

たとえば、SNSのLINEが提供している「LINE マイカード」は、電子化に対応しているポイントカードを統合して管理できるサービスで、複数のカードやアプリを所有していなくとも、瞬時にLINE経由でポイントカードの利用と管理ができます。

ポイントカード専用のアプリも登場しており、「Stocard」はその代表例です。Stocardに会員情報を入力しておけば、現在所有しているポイントカード情報をまとめて登録・利用できるよう設計されています。

これらのサービスを利用するためには、店舗側がポイントカードの電子化を進めておく必要があるため、早急なポイントカードの電子化が必要だといえるでしょう。

ポイントカード電子化のメリット:店舗側

ポイントカードの電子化は、店舗側と消費者側の双方にメリットをもたらします。まずは、店舗側のメリットについて解説しましょう。

カード発行のコストがかからない

1つ目のメリットは、カード発行のコストがかからないことです。

一度電子化すれば、ポイントカードを印刷するコストが一切発生しなくなるため、長期的に見れば大きな経費削減につながります。発行に際しては、会員情報の登録だけで完了するため、発行までの時間を必要としないこともポイントです。

リピーター獲得につながる

2つ目のメリットは、リピーター獲得に貢献することです。

従来の紙のポイントカードは、消費者にとって取り扱いが煩雑であったため、発行を拒否されることも珍しくありませんでした。しかし、電子化されたポイントカードの場合、消費者への発行負担も小さく、必要がなくなればアプリを消せば良いだけなので、大きなデメリットがありません。ポイントカードの有効性を十分に発揮し、リピーター獲得に貢献します。

最新情報を発信して販売促進が行える

3つ目のメリットは、販売促進につながることです。

ポイントカードアプリの多くは、ただポイントカードを管理するだけでなく、店舗のキャンペーンやクーポンの配布も行うことができます。アプリを開くとさまざまなお得情報が配信されるよう設計することで、販売促進活動をアプリ経由で進められます。

顧客データの活用が進む

4つ目のメリットは、顧客データを一箇所に集め、データ活用を推進できることです。

デジタル化に伴い、顧客データの価値は年々高まっており、販売戦略の策定に向けた重要な情報が含まれています。ポイントカード経由で得られる顧客データを有効活用すれば、さらなるプロモーション効果を生む情報活用が進むでしょう。

ポイントカード電子化のメリット:消費者側

ポイントカードの電子化は、消費者側にもメリットをもたらします。ここでは、消費者側のメリットについて解説しましょう。

カード紛失の心配がない

1つ目のメリットは、カード紛失の心配がないことです。

従来のポイントカードは、他のカード類とまぎれてしまうことで、本体を失くしてしまい、ポイントが失効することも珍しくありませんでした。しかし、電子化されたポイントカードであれば紛失の心配がありません。また、データは店舗側のサーバーに保管されているため、アプリを消しても情報は半永久的に保管してもらうことができます。

カードを持ち運ぶ負担がない

2つ目のメリットは、カードを持ち運ぶ必要がないことです。

何枚ものポイントカードをカバンや財布に入れておかずとも、スマホ一台でポイントカードを全て呼び出せるため、カード利用の手間は大幅に削減されています。

気軽に発行できる

3つ目のメリットは、発行のハードルが低いことです。

紙のカードは発行手続きが面倒ですが、電子化されたポイントカードはアプリをダウンロードし、簡単な情報入力だけで瞬時に利用できるため容易です。

ポイントカードの電子管理に役立つ主なサービス

では、ポイントカードの電子管理を支援する主なサービスを紹介しましょう。

cardfeel

cardfeel

コンポーネントデザイン株式会社のcardfeelは、電子化されても実物のカードを持っているような安心感のあるデザイン設計を実現しているポイントカードサービスです。アプリと紙の両方に対応しており、消費者のニーズに合わせて両方の運用ができる、便利な仕組みを採用しています。

料金プラン

  • 3,300円/月〜

公式サイト

PointInfinity

PointInfinity

株式会社日立ソリューションズのPointInfinityは、会員・ポイント制度を活かした統合型のCRM(顧客管理システム)です。ポイントカード制度を軸としたクーポンの配布やプロモーション展開につながる機能を備え、集客施策のデジタル化を推進する要となってくれるサービスです。

料金プラン

  • 要問い合わせ

公式サイト

Cross Point

Cross Point

株式会社アイルが提供するCross Pointは、実店舗とECをつなぐポイントと顧客情報の一元管理ができるサービスです。店舗とECでのポイントシステムの統合や、独自アプリを構築することによるリピーターの強化など、さまざまな販売施策において活躍できる機能を備えている製品です。

料金プラン

  • 基本料金:3万円/月
  • 月額:3,000円(1店舗あたり)

公式サイト

ポイントカードを電子化する際の注意点

ポイントカードの電子化は、店舗にとっても消費者にとってもメリットの大きな施策ですが、実施するに当たっては次の点に注意しておく必要があるといえます。

既存ポイントシステムからの移行作業が必要になる

既存のポイントシステムから脱却し、新たな仕組みを構築する必要がある場合に気を付けなければならない注意点です。ポイントシステムがアナログ管理されている場合、その体制を一度廃止するなどしなければ電子化が行えないことがあります。

旧来の顧客に対しては、別途サービスを提供して合意を得ることが大切です。

電子化に伴うコストが発生する

ポイントカード電子化を進めるシステムには、初期費用や維持管理費用がかかることが一般的であるため、ポイントカード施策にかかる費用が無料であるわけではありません。

とはいえ、電子化システムはポイントカード以外のプロモーション施策に大きく活躍できるため、導入コストに見合った成果をもたらしてくれる可能性は高いといえます。

セキュリティ対策を徹底する

自社で電子化した顧客データを管理する場合、高度なセキュリティシステムを導入しなければ、ある日突然サイバー攻撃の被害に遭い、深刻な情報流出が発生する場合があります。

電子化に際してはサーバーの管理ごと外部の会社に任せるなどして、万全の体制でセキュリティを強化しておくことを忘れないようにしましょう。

まとめ

ポイントカードの電子化や管理方法、メリットと注意点について解説しました。

当社ディップ株式会社が提供している「常連コボットfor LINE」は、そんなポイントカードシステムをLINE上で電子化して運用できるサービスです。

常連コボット for LINE

LINE IDを活用するため、会員登録不要の即時利用を可能にしているだけでなく、ログインや友達紹介、来店などのアクションに応じてポイントを付与できるため、優れた動機付けを顧客に行い、リピーターとなってもらえるよう促すことができます。LINEメッセージ経由でプロモーションも行えるという利便性も備えているため、ポイントカードの電子化を検討の際には、お気軽に当社までお問合せください。