QRコード決済の爆発的な普及によって、自社店舗にも導入を考えている方が増えてきています。QRコード決済は、今や現金払い、クレジットカード払いに並ぶ決済手段として用いられるようになってきました。
そのため、今後もQRコード決済に対応する店舗は増えていくでしょう。今回は、QRコード決済の概要から手数料の仕組み、それぞれのサービスの比較や導入時のメリットなどについて解説します。
QRコード決済とは
QRコード決済とは、スマートフォンに表示されるQRコードを利用して商品の購入などを現金の代わりに行う決済方法のことです。QRコードの決済方法には「ユーザースキャン方式」と「ストアスキャン方式」があり、QRコード決済を利用する店舗はどちらかの方式を選ぶことになります。
QRコード決済は急速に普及が広がっており、公正取引委員会が発表した『Zホールディングス株式会社及びLINE株式会社の経営統合に関する審査結果について』によれば、2018年から2019年にかけて市場規模が約1,500億円から約5,000億円まで成長しています。加えて、今後の市場規模は拡大の一途を辿ると予想されており、2025年には市場規模が9.7兆円にまで達するという予測も出ています。
市場拡大の背景には、日本政府が行ったキャッシュレス事業によるキャンペーンの訴求やポイント還元などの施策が挙げられます。また、新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、現金を利用しない非接触型の決済がニーズとして高まったことも挙げられます。
QRコード決済は、幅広い年齢層に利用されていることもあり、今後もクレジットカード払いなどに並ぶ決済手段として浸透していくと考えられます。
QRコード決済の手数料の仕組み
QRコード決済を導入する際には、次の3つの手数料が発生します。それぞれの手数料がどのようなものかを解説していきます。
・初期費用
・決済手数料
・入金手数料
初期費用
初期費用とはその名のとおり、店舗でQRコード決済を導入する際にかかる費用です。昨今では多くのQRコード決済サービスが、入会金無料や期間限定の無料キャンペーンを行っているため、費用を抑えて導入することが可能です。
また、店舗側はQRコード決済を導入する際には、「ユーザースキャン方式」と「ストアスキャン方式」のどちらかを選択する必要があります。
ユーザースキャン方式とは、店舗を利用するユーザーがアプリなどに表示したバーコードを読み取って支払う方法のことです。ユーザースキャン方式ではPOSなどでバーコードの読み取りが可能なため、POSを導入済みの店舗は初期費用を抑えることにつながります。
一方で、ストアスキャン方式とは、店舗で提示しているQRコードをユーザーがスマホなどで読み取ってもらい支払いを行う方法です。ストアスキャン方式は店舗でQRコードを表示させる方法にもよりますが、スマートフォンやタブレットなどに表示させる店舗も多く、その場合には端末を用意するための代金がかかってきます。
それぞれの方式や導入するQRコード決済サービスによって、初期費用は変わってきますので、きちんと比較することが大切です。
決済手数料
QRコード決済ではクレジットカード決済と同様に、商品などの決済を行うごとに「決済手数料」がかかります。決済手数料にかかる割合は決済事業者ごとに異なっており、無料で提供しているサービスもあれば、3%程度に設定している事業者もあります。
クレジットカード決済などと比較して、決済手数料は低く設定されているため、店舗側にとっても嬉しいといえるでしょう。
入金手数料
入金手数料とは、決済事業者ごとに設定された入金サイクルに沿って店舗に入金がされる際に発生する手数料のことです。多くの事業者が月々の入金サイクルを設定しているため、店舗のランニングコストとして処理されることが多いです。
また、入金手数料がかかる部分は、指定口座以外の利用や月に2回以上の入金を依頼する場合など、決済事業者によって決められています。そのため、導入前にきちんと確認しておくことが大切です。
QRコード決済の手数料を抑えるポイント
QRコード決済の手数料を抑えるポイントとしては、主に次の5つが挙げられます。それぞれのポイントについて解説していきましょう。
・運用コストの低い決済サービスを導入する
・ユーザースキャン方式で導入する
・決済代行会社を活用する
・キャンペーンを活用する
・導入するQRコード決済事業者の指定銀行を利用する
運用コストの低い決済サービスを導入する
QRコード決済は長期間の運用を考慮する必要があります。そのため、毎月のランニングコストを少しでも減らすためにも、運用コストの低い決済サービスを導入すると良いでしょう。
サービスによっては、決済手数料が低く抑えられていたり、振込手数料もかからないものがあったりします。一方で、手数料だけに目を向けすぎてしまうと、ユーザーにとって利便性の低いサービスを導入してしまう可能性もあります。そのため、コストと利便性のバランスを意識することが大切です。
ユーザースキャン方式で導入する
前述したように、ユーザースキャン方式とは店舗に提示しているQRコードをユーザーのスマートフォンで読み取ってもらうことで決済が行える方式のことです。
ユーザースキャン方式では、QRコードが表示できれば機材は問わないため、導入にかかる初期費用は抑えることが可能です。導入にかかる初期費用を抑えたいのであれば、ユーザースキャン方式で導入することを検討すると良いでしょう。
決済代行会社を活用する
決済代行会社とは、QRコード決済を導入する店舗と、QRコード決済事業者の間に入って、店舗が導入するべきサービスの選定から、実際の手続きの代行までを行う会社のことです。
決済代行会社は、QRコード決済のみを専門に扱っているわけではありません。クレジットカード決済なども扱っていることがほとんどなので、店舗でクレジットカード決済なども同時に導入したいと考えている場合は、導入の手間が軽減されます。
また、決済代行会社に依頼をする場合、決済事業者と直接契約を結ぶよりも決済手数料が割高になる傾向があります。しかし、QRコード決済を行う際は「PayPay」や「楽天Pay」「auPay」などさまざまな決済事業者と契約することがほとんどです。
こうした複数のQRコード決済事業者と契約するよりも、決済代行会社に依頼を行い一括でさまざまな決済事業者と契約を行う方が、総合的な手数料が安くなるケースがあります。そのため、店舗で導入したい決済サービスのそれぞれの手数料と、決済代行会社を利用した場合の手数料を比較して、ランニングコストが低く抑えられるものを選択すると良いでしょう。
キャンペーンを活用する
QRコード決済事業者は導入する期間、導入する際の条件を満たすと決済手数料が割安になるキャンペーンを打っていることが多くあります。利用したいQRコード決済事業者がこうしたキャンペーンを打っていれば、積極的に活用していくと良いでしょう。
キャンペーンを利用する際は条件などが明確に記載されているため、店舗が対象になるかどうかをきちんと確認する必要もあります。
導入するQRコード決済事業者の指定銀行を利用する
QRコード決済事業者では、それぞれ振込の銀行口座が決まっていることがほとんどです。決済事業者が指定した銀行口座であれば、振込手数料が無料になるなどお得に活用できることも多くあります。
一方で、銀行口座が増えてしまうと、管理の面で手間に感じてしまうこともあるでしょう。銀行口座の優遇措置だけに目を向けてしまい、実際の振込の手間などを蔑ろにしてしまっては本末転倒です。バランスを見て選択するようにしましょう。
QRコード決済サービス比較
続いては、代表的なQRコード決済サービスを紹介しましょう。ぜひ店舗で導入する際の参考にしてみてください。
・PayPay
・楽天Pay
・auPay
・LINEPay
・d払い
・メルペイ
PayPay
PayPayはQRコード決済事業者で最も有名といっても過言ではありません。キャンペーンの訴求力と継続性があり、多くのユーザーが活用しています。店舗で導入する場合は、PayPayを基準に導入して考えていくと良いでしょう。
決済名称 | PayPay | |
運営企業 | PayPay株式会社 | |
決済方法 | コード支払い/読み取り支払い | |
必要機器 | iOS/Androidアプリが利用できるスマートフォン・タブレット | |
費用 | 初期費用 | 0円 |
月額費用 | 0円 | |
決済手数料 | 0円※条件あり | |
導入日数 | 1週間程度 | |
入金タイミング | PayPay銀行:最短翌日入金 その他銀行:最短翌々営業日入金 | |
入金手数料 | 0円 |
楽天Pay
楽天Payは楽天が提供しているQRコード決済サービスです。楽天ポイントが貯められるなど、楽天ユーザーにとっては利便性の高いものになっています。楽天のユーザー数は1億人を超えているとされているため、市場規模も市場規模も大きなものになります。
決済名称 | 楽天Pay | |
運営企業 | 楽天株式会社 | |
決済方法 | コード支払い/読み取り支払い | |
必要機器 | iOS/Androidアプリが利用できるスマートフォン・タブレット | |
費用 | 初期費用 | 0円 |
月額費用 | 0円 | |
決済手数料 | 3.24%※条件あり | |
導入日数 | 最短3日 | |
入金タイミング | 楽天銀行:翌日入金 その他の銀行:入金依頼日の翌営業日入金 | |
入金手数料 | 楽天銀行:0円 その他の銀行:330円 |
auPay
auPayは、auが提供しているQRコード決済サービスです。Pontaポイントと連携しているため、決済時にPontaポイントが貯められます。利用範囲も大手コンビニであるセブンイレブンやローソンで利用できるなど幅広いのが特徴です。
また、加盟店舗ではクーポン配布を行なっているなど利便性が高いのも嬉しい点です。
決済名称 | auPay | |
運営企業 | KDDI株式会社 | |
決済方法 | コード支払い/読み取り支払い | |
必要機器 | iOS/Androidアプリが利用できるスマートフォン・タブレット | |
費用 | 初期費用 | 0円 |
月額費用 | 0円 | |
決済手数料 | 3.25%※条件あり | |
導入日数 | 最短2日 | |
入金タイミング | 月末締め翌月末入金/15日締め翌月15日入金/月末締め翌月末入金 早期振込サービスを利用した場合:最短2営業日後入金 | |
入金手数料 | 0円 早期振込サービスを利用した場合/変動手数料発生 |
LINEPay
LINEPayはLINEのQRコードを利用する決済サービスです。LINEもユーザー数が多いため、一定数の需要があります。
また、中国人観光客が多い地域では、LINEを活用しての決済が多いため、導入しておくと機会損失を防ぐことにもつながります。
決済名称 | LINE Pay | |
運営企業 | LINE Pay株式会社 | |
決済方法 | コード支払い/読み取り支払い | |
必要機器 | iOS/Androidアプリが利用できるスマートフォン・タブレット | |
費用 | 初期費用 | 0円 |
月額費用 | 0円 | |
決済手数料 | 2.45%※条件あり | |
導入日数 | 10日程度 | |
入金タイミング | 末締め翌月第3営業日入金 | |
入金手数料 | 0円 |
d払い
d払いは株式会社NTTドコモが提供しているQRコード決済サービスです。ドコモユーザーはもちろん、d払いは通常よりもdポイントをお得に貯めることが可能なため、多くのユーザーに愛用されています。そのため、導入して損がないQRコード決済サービスといえます。
決済名称 | d払い | |
運営企業 | 株式会社NTTドコモ | |
決済方法 | コード支払い/読み取り支払い | |
必要機器 | iOS/Androidアプリが利用できるスマートフォン・タブレット | |
費用 | 初期費用 | 0円 |
月額費用 | 0円 | |
決済手数料 | 2.6%※条件あり | |
導入日数 | 最短2日 | |
入金タイミング | 15日締め当月末入金/月末締め翌月15日入金 | |
入金手数料 | 0円 |
メルペイ
メルペイは、メルカリが提供しているQRコード決済サービスです。メルカリの売上金をチャージできるので、フリマなどで活用しているユーザーにとっては利便性の高いものになります。
決済名称 | メルペイ | |
運営企業 | 株式会社メルペイ | |
決済方法 | コード支払い/読み取り支払い | |
必要機器 | iOS/Androidアプリが利用できるスマートフォン・タブレット | |
費用 | 初期費用 | 0円 |
月額費用 | 0円 | |
決済手数料 | 2.6%※条件あり | |
導入日数 | 最短2日 | |
入金タイミング | 月末締め翌月10日入金/15日締め当月25日入金/月末締め翌月10日入金 ゆうちょ銀行:上記入金日より2営業日後の入金 | |
入金手数料 | 1万円未満:200円 |
QRコード決済を導入するメリット
QRコード決済を導入するメリットには、次の3点が挙げられます。最後に、それぞれのメリットについて解説していきます。
・新規顧客の機会損失を防げる
・売上管理をデータ化できる
・導入までのスピードが速い
新規顧客の機会損失を防げる
QRコード決済を利用するユーザーは爆発的に増えています。また、昨今では現金を持ち歩かずに買い物を行う人も増えてきているため、決済に対応していなければ、顧客の機会損失につながってしまいます。
加えて、海外からの旅行者もQRコード決済に対応していれば、買い物が行えるケースが多いため、QRコード決済を導入しておくことで、顧客の取り込みにもつながります。
売上管理をデータ化できる
QRコード決済では購買履歴などが自動的にデータ化されます。そのため、日々の売上や顧客単価などが簡単に目視で把握できるようになり、良い点は伸ばし、悪い点は改善につなげるなどの施策を打つことが可能になります。
QRコードを利用したデジタル化は、業務効率化にも寄与します。
導入までのスピードが速い
QRコード決済は申し込みから導入まで概ね1週間程度で行えるものがほとんどです。機器の準備が必要などによっては、時間がかかる場合もありますが、導入までのスピードが速いのは大きなメリットといえます。
事前にどんな準備が必要かを認識しておくことで、スムーズな導入につながります。
まとめ
QRコード決済を利用するユーザーは今後、さらに増えていくことが予想されます。近い将来、現金よりもQRコードを利用して買い物を行う人が増えてもおかしくはありません。時代の変化に柔軟に対応し、ニーズに応えるためにもQRコード決済の導入を進めてみてください。
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ポイントが貯まる施策が施されている他、クーポンの活用も容易に行えるようになっています。QRコード決済の導入を検討する際には、一緒の導入を考えてみてください。