日本国内におけるSNS普及率は82%を超えており、今やSNSは店舗集客に欠かせないツールとなりました。とはいえ、SNS集客に興味はあっても、「やり方がわからない」「どのSNSを選ぶべき?」などと、最初の一歩を踏み出せずにいる店舗経営者の方も多いことでしょう。
そこで今回は、SNS集客のメリット・デメリットと、主要SNSの特徴を比較しながらわかりやすく解説します。SNS集客で効果を出すポイントもお伝えしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
SNS集客の重要性
そもそもSNS集客とは、LINEやTwitter、InstagramなどのSNSを使って店舗に集客する施策のことです。テキストや写真、動画の投稿や、コメント対応、アクセス解析など、多岐に渡る作業内容を総称して「SNS集客」といいます。
近年、業種を問わずさまざまな企業・店舗がSNSを運用している背景には、「SNSの利用率の高さ」があげられます。今やSNSは多くの人に普及し、主要SNSの一つであるLINEの利用率は90.3%にも及んでいます。
参照元:令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(総務省)
そんなSNSを使ってお店や商品、サービスの宣伝を行うことで、より多くの人にアプローチすることができ、集客へとつなげるきっかけを作り出すことができます。
また、顧客とコミュニケーションを取ることも可能なSNSは、ファン・見込み顧客の育成や、顧客接点の強化ができるという観点からも、企業や店舗にとって重要な施策だといえます。
SNS集客のメリット
SNS集客に取り組む主なメリットを3つ紹介します。
- 費用を抑えて始められる
- お店のターゲットにアプローチしやすい
- ブランドの認知を拡大できる
費用を抑えて始められる
一般的な集客施策とは異なり、SNS集客は費用を抑えて始めることができます。そのため、「集客に充てられる資金がない」という店舗経営者の方でも、時間と手間さえあれば、今すぐにでも取りかかることが可能です。
たとえば、TwitterやInstagram、Facebookなど、ほとんどのSNSは無料でアカウントを開設し、運用を始められます。
もちろん、成果を出すには時間や人手といったリソースは必要ですが、資金がなくても始められる手軽さは、集客手法を模索している店舗にとって大きなメリットでしょう。
お店のターゲットにアプローチしやすい
SNS集客には、お店のターゲットに能動的にアプローチしやすいというメリットがあります。SNSは幅広いユーザーがあらゆる目的で利用しているため、自社が狙いたいターゲットを容易に見つけることができます。
たとえば、ヘルシーなランチメニューが看板商品のお店なら、「#ヘルシーランチ」といったハッシュタグを付けて投稿することで、お店のターゲットであるヘルシー志向のユーザーにアプローチすることが可能です。
また、SNS広告を活用すれば、費用はかかりますがその分ピンポイントでターゲットに投稿を届けることができます。SNS広告は、年齢や地域、興味・関心などでターゲットを細かく絞って配信できるため、集客に最適です。
ブランドの認知を拡大できる
SNS集客では、集客をする過程でブランドの認知を拡大することができます。
多くのSNSには、「シェア」や「リツイート」といった拡散機能が備わっており、拡散数を多く獲得することができれば、これまでお店の存在を知らなかったユーザーにまで情報を届けることが可能です。
基本的には、フォロワー数が多いほど、認知拡大効果が出やすくなります。多くのフォロワーを獲得することができれば、新商品・メニューの発表やキャンペーン情報といった旬な情報をリアルタイムで拡散できるようになり、さらに高い集客効果を期待できるでしょう。
SNS集客のデメリット
メリットの多いSNS集客ですが、本格的に取り組むにあたっては知っておきたいデメリットも存在します。ここでは、SNS集客のデメリットを2つ紹介しましょう。
- 運用に手間がかかる
- すぐには集客効果が得られない
運用に手間がかかる
SNSは誰でも簡単に始められる分、成果をあげるには継続的な投稿を行うことが不可欠です。アカウントを開設しても、定期的に魅力的な情報を配信しなければ、ユーザーは離れていってしまいます。
1回投稿するにしても、投稿のネタや写真、文章などを考える必要がありますし、定期的にコメントに返信したり、運用を分析・改善したりする手間もかかります。そのため、忙しい店舗経営者の方だと、SNSの運用が負担に感じることがあります。
「SNS集客は手間がかかるもの」という認識のもと、SNS運用担当者や投稿に関するルールを決めるなど、継続的な運用体制を整えることが大切です。
すぐには集客効果が得られない
SNS集客は、Web広告やダイレクトメールなどと異なり、集客できるようになるまで時間がかかります。というのも、SNS上で集客するためには、ある程度継続して運用を行い、ファンベースを築いていく(=フォロワー数を獲得していく)必要があるからです。
フォロワー数の獲得にはある程度の時間がかかるため、長期的な目線で考えることが重要です。運用を開始しても、すぐには売上の向上は見込めないものの、長期的にファンを多く獲得することができれば、自社にとって非常に有力な集客ツールとなります。
Web広告やダイレクトメールなど、短期施策とのバランスを考えながら、長期目線でSNSを運用していくことが理想的です。
SNS集客を始める前にやるべきこと
SNS集客を始めるにあたっては、まず下記のことに着手しましょう。しっかりと準備をしておくことで、スムーズにSNS運用を始めることができます。
- SNSの運用目的を明確にする
- 情報を届けたいターゲットを決める
- 集客に最適なSNSを選定する
- 投稿内容や運用ポリシーを決める
SNSの運用目的を明確にする
まず、SNS集客に取り掛かるにあたっては、SNSの運用目的を明確にしましょう。「最近流行っているから」「他の店舗もやっているから」といった理由でSNS集客を始めても、運用の「軸」がブレてしまい、アカウント設計や投稿内容の選定がうまくいきません。
たとえば、Instagram経由の予約を増やすことが目的なら、投稿の最後に「プロフィールのリンクから予約!」といった文字を表示するなど、予約への導線を作る必要があります。他にも、「実店舗の場所を認知してもらいたい」「看板メニューの認知度を向上させたい」など、店舗によってSNS集客の目的は異なるはずです。
まずは、SNS運用の目的を明確にするところから始めてみましょう。
情報を届けたいターゲットを決める
運用の目的が決まったら、次は集客したいターゲットを決めます。「誰に向けて情報を発信するのか」「誰にお店を利用してもらいたいのか」をできるだけ具体的に決めておくことで、ブレずに一貫したSNS運用ができるようになります。
普段店舗を利用してくれている顧客の客層や、新たに集客したい客層などを考え、年齢層や性別、興味関心や大切にしている価値観など、アプローチしたいターゲットをできるだけ明確にしておきましょう。
集客に最適なSNSを選定する
一口に「SNS集客」といっても、お店によって相性の良いSNSは異なります。ここまでで決めた運用目的とアプローチしたいターゲットをもとに、自社での集客に最適なSNSを選定しましょう。
たとえば、SNSの選定基準の一つにターゲットの「年齢層」があげられます。というのも、SNSはそれぞれメインで抱えているユーザーの年齢層が異なるからです。
若年層にアプローチしたいなら若年層が多く利用しているInstagramやTikTokを、高齢層にアプローチしたいならFacebookやLINEを選ぶとターゲット層を集客しやすくなります。
このように、SNSはお店によって合う・合わないがあるため、自社での集客に適したSNSを選ぶことが大切です。主要SNSの特徴については、次章で詳しくお伝えしていきます。
投稿内容や運用ポリシーを決める
集客に活用するSNSが決まったら、そのSNS運用イメージをより具体化させていきましょう。具体的には、ここまでで決めた運用目的やターゲットに合わせて、アカウントのコンセプトや投稿内容などを決めていきます。
「週に何回投稿するか」「更新の時間帯はいつにするか」「誰がSNSを運用するか」「コメントやDM対応はどうするか」など、細かな部分まで決めておくと、実際に運用を始めたときにスムーズです。
主要なSNSと集客の特徴を比較
ここからは、実際に集客に向いている主なSNSの種類と特徴を比較しながら紹介します。
SNS | 主なユーザー層 | 特徴 |
---|---|---|
20〜40代 | ・拡散性が高い ・テキストがメイン ・最新情報の拡散に最適 | |
10代〜40代 | ・写真がメイン ・視覚的な訴求ができる ・ハッシュタグ機能が充実 | |
30〜50代 | ・実名登録制 ・中年〜高齢層が主に利用 ・広告のターゲティング精度が高い | |
YouTube | 10〜60代 | ・動画がメイン ・情報が伝わりやすい ・撮影・編集のスキルが必要 |
TikTok | 10〜20代 | ・若年層が主に利用 ・ショート動画がメイン ・撮影・編集のスキルが不要 |
LINE | 10〜60代 | ・全世代が利用 ・集客・販促に役立つ機能が充実 |
参照:令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査(総務省)
SNSにはたくさんの種類がありすべて運用することは難しいため、ユーザー層や集客の特徴が自社に合っているSNSを1〜2個選んで運用すると良いでしょう。ここでは、それぞれのSNSと集客の特徴について、順に詳しく解説していきます。
Twitterは、「テキスト」がメインのSNSで、主に20〜40代のユーザーが利用しています。RT(リツイート機能)があるため拡散性が高く、潜在顧客にアプローチしやすいことが特徴です。
また、企業・店舗アカウントと個人ユーザーの距離が比較的近く、顧客とコミュニケーションを取ったり、顧客からフィードバックをもらったりしやすいこともメリットでしょう。
一方で、Twitterは匿名性が高いので投稿が炎上しやすく、一度炎上するとあっという間に拡散されてしまうというデメリットも存在します。他のSNSにも共通していえることですが、発信する内容や言葉使いには十分注意する必要があります。
Instagramは、「写真」がメインで、視覚的に訴求することに長けているSNSです。10〜30代の若年層を中心に、最近では40〜50代のユーザーも増えています。
画像やショート動画の投稿が主体であるため、商品やお店の雰囲気を視覚的にアピールしたい店舗や、ブランディングが目的の店舗に向いています。
Twitterのリツイート機能のような強力な拡散力はないものの、独自のアルゴリズムにより投稿が評価されると、投稿がおすすめ欄に掲載され、不特定多数のユーザーに情報を届けることができます。
また、Instagramでは、飲食店やアパレル店などを「ハッシュタグ検索」を使って探すユーザーも多く、投稿に付けたハッシュタグがきっかけでお店を知ってもらえたり、フォローしてもらえたりすることもあります。
Facebookは実名登録制のSNSで、他のSNSと比較してややビジネス色が強いことが特徴です。主に30〜50代と比較的年齢層が高いユーザーが利用しています。若年層をターゲットとした集客よりは、中年層〜高齢層をターゲットとした集客に適しています。
Facebookは、実名登録制であることから炎上しにくいですが、その分ユーザーにとって拡散のハードルも高いといえます。多くのユーザーにアプローチしたいのであれば、有料とはなりますがFacebook広告の利用がおすすめです。
Facebook広告では、ターゲットの年齢層や居住地などで細かくターゲットを絞り込んでアプローチできるため、高い集客効果を期待できます。
YouTube
YouTubeは、今や世代を問わず多くの人の生活の一部となっているSNSです。10代から60代まで全世代の人が利用しているため、認知のきっかけを作りやすく、高い集客力が期待できます。
また、テキストや写真よりも動画は情報を伝えやすく、商品やお店の雰囲気などを素早く理解してもらうことに適しています。ただし、動画を制作するには「撮影」「編集」といった作業が必要になり、動画の質にこだわりたい場合は専門スキルや機材なども必要です。
運用に手間がかかる上、ファンを増やすのには時間がかかるため、SNS集客に割けるリソースを多く確保できる店舗や、本腰を入れて動画を活用したSNS集客に取り組みたい店舗での利用がおすすめです。
TikTok
TikTokは、「ショート動画」が主体の比較的新しいSNSです。全体的な利用率はまだ比較的低いですが、若者の利用者が多く、若年層をターゲットとした集客には最適です。
また、TikTokは他のSNSと異なり、ユーザーの趣味嗜好に合わせて、タイムラインにおすすめの動画が表示される仕組みになっています。そのため、不特定多数の人に動画を見てもらえるチャンスがあります。
TikTokでは、動画を撮影・編集から投稿まで、アプリ一つで完結するようになっており、特別なスキルや機材が必要ないため、気軽に始めることができます。ショート動画でお店の魅力を伝えたい場合や、エンタメ色の強い動画で楽しく集客したい場合におすすめのSNSです。
LINE
LINEは、9,200万人以上もの国内月間アクティブユーザーを誇ります。10代から60代まで、世代を問わず幅広く浸透しているLINEは、集客に持ってこいのSNSです。
そんなLINEを集客に役立てられるサービスとして「LINE公式アカウント」が提供されています。「LINE公式アカウント」では、友だち追加してくれたユーザーに対して直接メッセージやクーポンを配信したり、ショップカードを発行したりしてリピートを促進することができます。
ただし、情報を届けるにはユーザーに「友だち追加」してもらう必要があるため、集客の対象は基本的に一度実店舗を利用したことがある既存顧客です。クーポン機能やショップカード機能など、再来店の促進に適した機能が充実してるため、既存顧客の集客に効果的です。
SNS運用で効果を出すためのポイント
続いて、SNS運用で効果を出すためのポイントを3つ紹介します。
- 集客への導線を自然に作る
- フォロワーと積極的に交流し「つながり」を持つ
- 反応を見て改善を行う
集客への導線を自然に作る
SNS運用で効果を出すためには、集客への導線を自然に作ることが大切です。魅力的なコンテンツを配信しても、集客への導線がひかれていなければ、ユーザーにアクションを起こしてもらうのは難しいでしょう。
たとえば、Twitterから自社のホームページへ集客したいなら、ユーザーがクリックしたくなるような形でホームページのURLを投稿に挿入したり、プロフィールにURLを貼ったりといった工夫が必要です。ユーザーがアクションを起こしやすいように、集客のゴールに合わせて導線を作りましょう。
フォロワーと積極的に交流し「つながり」を持つ
SNSで集客を行う際は、店舗からの一方的な発信にならないように注意しましょう。というのも、新商品や新メニュー、キャンペーン情報を一方的に配信するだけでは、なかなか注目を集めることは難しく、ユーザーの離脱を招きかねないからです。
ユーザーの離脱を防ぎファンを獲得していくには、フォロワーと積極的に交流し、「つながり」を強化することが欠かせません。フォロワーの意見を問う投稿をしたり、フォロワーから寄せられたコメントに返信したり、ユーザーが投稿したコンテンツをリツイートやリポスト機能で拡散したりするなど、相互的な運用を心がけましょう。
反応を見て改善を行う
TwitterやInstagram、TikTokなどのSNSには、「投稿がどのくらいの人にリーチしたか」「何人のユーザーが投稿をいいね!したか」「投稿を通して何人のフォロワーを獲得したか」などをチェック・分析できる機能が備わっています。
これらの分析機能でユーザーの反応を確認し、良いところは継続、悪いところは改善するように努めましょう。
SNSを運用していると、反応が良いだろうと思った投稿が伸びなかったり、意外な投稿にユーザーが良い反応を示したりすることがあります。しかし、投稿後に分析をしなければ、それに気づくことができません。
過去の投稿に対するユーザーの反応は必ず確認し、改善を繰り返すようにしましょう。
まとめ
SNS集客のメリット・デメリットと主要SNSの特徴、SNS集客で効果を出すポイントについて解説しました。
今や広く普及し、多くの人にとって生活の一部となっているSNSは、店舗集客の場として最適です。自店舗のターゲット層とユーザー層が合致しているSNSを集客に上手に活用すれば、高い認知拡大効果やブランディング効果が見込めます。
今回紹介したポイントを参考に、ぜひこれを機にSNS集客を始めてみてはいかがでしょうか?