スマホ決済の導入

キャッシュレス決済の普及拡大に伴い、普段の支払いにスマホ決済を使う人は年々増加の一途をたどっています。多様化する消費者のニーズに応え、購入機会の損失を防ぐためには、スマホ決済の導入は不可欠になりつつあるといえます。

今回は、店舗でスマホ決済を導入する方法や導入費用、主な決済代行サービスを紹介します。

スマホ決済とは?

スマホ決済とは、スマホを用いて支払いをする決済手段のことです。近年シェアが拡大しているキャッシュレス決済の一種で、スマホアプリやスマホに登録したカード情報を使って支払いを行います。

主に「非接触型IC決済」「QRコード決済」「キャリア決済」の3種類に分別することができ、いずれも飲食店や小売店などさまざまなお店で利用されています。

国内最大のモバイル調査機関「MMD研究所」が実施した調査によると、普段の支払い方法として「スマホ決済」を挙げた人は、現金とクレジットカードに次いで3番目に多く、2022年1月におけるスマホ決済の利用率は「43.6%」にも及んでいます。

スマホ決済の種類

キャッシュレス決済の一種である「スマホ決済」は、さらに細かく3つの種類に分けることができます。ここでは、スマホ決済の種類を具体例とともに紹介します。

スマホ決済の種類

・非接触型IC決済
・QRコード決済
・キャリア決済

非接触型IC決済

非接触型IC決済は、電子マネーやクレジットカード、デビットカードなどを登録したスマホを専用の端末にかざして決済を行う方法です。

やや専門的に言えば、スマホに搭載されている「NFC」や「Bluetooth」などの無線通信の規格を決済アプリと連動させて支払いを行う仕組みになっています。

一例としては、「Suica」や「PASMO」などのスマホ決済や、株式会社NTTドコモの「iD」・株式会社ジェーシービーの「QUICPay」などの電子マネーなどが挙げられます。ちなみに、よく耳にする「Apple Pay」や「Google Pay」とは、これらの決済手段をまとめて管理できる機能のことを言います。

QRコード決済

QRコード決済は、スマホアプリでQRコードを提示する、あるいは店舗に設置されたQRコードをスマホアプリで読み取って支払う決済方法です。

代表的なQRコード決済サービスとしては、「PayPay」や「LINE Pay」「楽天ペイ」などが挙げられます。

キャッシュレス・ロードマップ2022」によると、2020年にはコード決済の支払額がデビットカードを上回り、現在では電子マネーの支払額に近づきつつあります。QRコード決済は昨今急速に利用者が増えているスマホ決済で、今後もさらなる普及の拡大が見込まれます。

キャリア決済

キャリア決済は、スマホアプリのQRコードなどを使って決済を行い、月々の携帯料金と一緒に支払いができる決済方法です。

株式会社NTTドコモの「d払い」や、KDDI株式会社の「au PAY」などが一例として挙げられます。キャリア決済は、ECサイトなどで利用されることが多い決済方法ですが、QRコード決済に対応している「d払い」や「au PAY」などは、実店舗でも幅広く導入されています。

スマホ決済を導入するメリット

続いて、スマホ決済を導入する主なメリットを3つ紹介します。

メリット

・会計業務を効率化できる
・購入機会の損失を防げる
・集客効果の向上が期待できる

会計業務を効率化できる

スマホ決済の導入により、会計業務を効率化することができます。

実際に株式会社ジェーシービーが行った「決済速度に関する実証実験」では、キャッシュレス決済は現金決済よりもレジ会計が「16秒」速いという結果が出ています。非接触型のスマホ決済に限っては、現金よりも「20秒」も速く会計業務を行うことが可能です。

また、閉店後のレジ締め業務においても、スマホ決済を始めとしたキャッシュレス決済が中心の店舗のほうが、現金決済中心の店舗と比べて、お釣りの計算ミスや紙幣のカウントなどといった負担・労力を削減できます。

購入機会の損失を防げる

スマホ決済を導入することで、顧客は現金の持ち合わせがなくても支払いができるようになるため、購入機会の損失を防止することができます。

現金と異なり「お金を使っている感覚」が薄いことや、キャッシュバックやポイント付与などでお得に利用できることなどから、お金を使ってもらいやすいというメリットもあります。

また、スマホ決済を用意しておけば、スマホ決済を利用している顧客に自店舗を利用してもらいやすくなる他、顧客の取りこぼしも減らせます。

集客効果の向上が期待できる

近年急速に普及が拡大しているスマホ決済業界では、決済会社ごとに「キャッシュバックキャンペーン」や「ポイントアップキャンペーン」といったお得なキャンペーンが定期的に開催されます。

大規模キャンペーンの開催中は、多くのユーザーがそのスマホ決済を使って買い物や外食をしたいと考えるため、「スマホ決済に対応しているか」は来店の大切な判断基準になります。

普及率が高いスマホ決済を導入しておくことで、スマホ決済会社のキャンペーンによる集客や売上アップ効果が期待できます。

スマホ決済を導入するデメリット

スマホ決済を導入するデメリットとしては、次の3つが考えられます。

デメリット

・導入には審査が必要
・決済手数料がかかる

導入には審査が必要

スマホ決済を導入するには、所定の審査を通過する必要があります。スマホ決済の加盟店審査は特別厳しいものではないものの、審査に手間がかかることや審査結果によっては利用できないこともあります。

加盟店審査の手間を減らすには、決済代行サービスの利用がおすすめです。決済代行サービスを利用すれば審査が一度で済むため、必要書類の準備や申請フォームの記入といった手間を削減できます。

決済手数料がかかる

スマホ決済を導入すると、顧客がスマホ決済を行う度に3〜4%程度の決済手数料が発生します。この決済手数料は、店舗側が支払わなければならないため、負担になる可能性があります。

現金決済ならかからない手数料が発生する訳ですから、大きなデメリットのように感じてしまうかもしれません。しかし、スマホ決済の導入により購入機会を増やすことができれば、結果的に利益を上げることは十分に可能です。

また、スマホ決済の手数料は3〜4%程度と、クレジットカード決済と比較すると安価に設定されているため、手数料が高すぎるということは考えにくいでしょう。

スマホ決済の導入方法

続いて、スマホ決済の導入方法を手順ごとに解説します。

スマホ決済の導入方法

1. 利用するサービスを選定する
2. 契約方法を決める
3. 申込みを行う
4. 初期設定をして利用を開始する

利用するサービスを選定する

まず、店舗で導入したいスマホ決済サービスを選定します。特定のスマホ決済を導入したいのか、それとも複数のスマホ決済をまとめて導入したいのかも考えましょう。

また、同じスマホ決済でも種類によって普及率や利用者層、決済手数料などは異なります。基本的には、普及率が高いものから導入することが理想ですが、自店舗の顧客層や手数料などに合わせて最適なサービスを選ぶことが大切です。

契約方法を決める

次に、契約方法を決めましょう。スマホ決済を導入するには、スマホ決済サービスと直接契約する方法と、決済代行サービスを利用する方法があります。

前者の場合、一社ずつ申込みや契約をする手間がかかるため、複数のスマホ決済を導入したいのであれば決済代行サービスを通す方法がおすすめです。決済代行サービスを利用すれば、一度の申請で済むため導入の手間やコストを抑えることができます。

また、それぞれの決済機関から異なる日に売上が入金されるといった煩雑化も予防できます。スマホ決済に対応している主な決済代行サービスは、後半で紹介します。

申込みを行う

契約方法を決めたら、スマホ決済サービスまたは決済代行サービスに申込みを行います。

申込み方法は会社によって異なりますが、インターネット窓口の用意がある場合は、必要事項を入力するだけで手軽に申請することが可能です。申込みを行った後は加盟店審査が行われますので、審査通過の連絡を待ちましょう。

初期設定をして利用を開始する

審査が通ったら、スマホ決済サービスまたは決済代行サービスから配布される専用の端末を設置して利用を開始します。多くの場合、スマホやタブレット端末に接続したり、QRコード決済の場合はQRコードを設置したりするだけで利用を開始できるため、大々的な工事は必要ありません。

スマホ決済の導入費用

スマホ決済を導入するにあたっては、基本的に初期費用と決済端末費用がかかります。初期費用は0円〜5万円程度、決済端末費用は0円〜3万円程度が相場です。

ただし、決済代行サービスを利用する場合、近年ではスマホ決済の競争が激化していることもあり、初期費用無料で利用できることも珍しくありません。また、QRコード決済については、初期費用・決済端末費用ともに無料で利用できることが一般的です。

月額利用料・決済手数料も要チェック

スマホ決済を導入すると、上で紹介した導入費用に加えて月額利用料と決済手数料がかかります。決済代行サービスの場合、月額利用料は無料としているところが多いですが、決済手数料については決済手段によって利用金額の3%前後がかかります。

特に決済手数料は決済の度に負担しなければならないため、導入前にしっかり確認しておくことが大切です。

スマホ決済を導入できる主な決済代行サービス

最後に、複数のスマホ決済をまとめて導入できる主な決済代行サービスを3つ紹介します。

AirPAY

AirPAY

「AirPAY」は、株式会社リクルートが提供する決済サービスです。クレジットカードを始め、Apple PayやiD、QUICPayなど、36種の決済に対応しており、専用のカードリーダー1台とiPadまたはiPhoneで簡単に導入できるのが特徴です。

AirPayは、決済方法によって決済手数料が「3.24%」または「3.74%」と業界最安水準を実現しています。なお、振込手数料と月額の固定費は、お店の規模や業種を問わずいずれも無料です。決済手数料のみで利用できるので、初期費用を抑えてスマホ決済を導入したい店舗におすすめです。

公式サイト

Square

Square

Squareは、Square株式会社が提供するモバイル決済サービスです。専用のリーダーやターミナルをスマホやタブレットに接続するだけで、キャッシュレス決済に対応することができます。

各種クレジットカードと交通系電子マネー、iDやQUICPayなどの電子マネーに加え、国内QRコード決済最大手であるPayPayにも対応しています。

店頭での決済の場合、手数料は、iDとQUICPayが「3.75%」、JCBが「3.95%」でそれ以外は「3.25%」です。初期費用と月額固定費はともに無料で、Squareリーダーの端末購入費用のみで始められます。

公式サイト

STORES 決済

STORES 決済

STORES 決済は、STORES 株式会社が運営する決済代行サービスです。主要なクレジットカードと電子マネーに加えて、中国で最も広まっているメッセージアプリ「WeChat」の決済サービスである「WeChat Pay」のQRコード決済に対応しています。

また、電子マネーの決済手数料が「1.98%」と業界最安水準な点も特徴の一つです。最短3営業日で導入できるため、急な導入にも対応可能です。

公式サイト

まとめ

店舗でスマホ決済を導入する方法や導入費用、主な決済代行サービスについて解説しました。決済手段の多様化が進む昨今、スマホ決済を始め、さまざまな決済手段を用意しておくことは、購買機会の損失を防ぎ、集客効果や売上を高めることにつながります。

決済代行サービスを利用すれば、あらゆる決済手段をまとめて導入することができ便利です。これを機に、スマホ決済の導入を検討してみてはいかがでしょうか?

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